2023年の手前味噌プロジェクトが完了! 32人の思いをのせて、発送、仕込みを行いました
32人の方から合計131,891円の寄付をいただいた「100人のひとしずく〜大豆・味噌トラスト活動」。2023年3月29日に、前年に仕込んだ味噌の発送、4月5日に新しい味噌の仕込みも無事に終えることができました。1年後の味噌の完成が楽しみです!

発送した味噌はみつはしさんがまるでお菓子のようにかわいらしくラッピングしてくれました。リボンは、森ノオトの「めぐる布市」から協力してもらい、不要になって寄付された布を使っています

森ノオトが地元の農家さんとつながって作った大豆、横浜の里山風景を守る人と拠点の応援、そして料理家のみつはしあやこさんの和食や発酵食品への思いがかけ合わさって続いてきた「100人のひとしずく〜大豆・味噌トラスト活動」。コロナ禍で「100人が集まって味噌を仕込む」ことができなくなり、横浜の農風景を未来につなぐ発信と啓発に形を変えて3年目。2022年度仕込みの味噌は、みつはしさん曰く「これまでで最高の出来!」だったそうです。

私個人の感想としては、みつはしさんの言葉通り、今回はいつもよりぐーんと雑味が少なく、素材の味がよくわかる優しい味わいだったと感じました。こんなにおいしい味噌ができるなんて、手作りの川口さんの糀の力、木桶の力、大豆の力……素材の力たちに感服です!

3月20日三澤総合農場さん(青葉区奈良町)へ、遊休農地を活用して育ててもらった大豆を受け取りにうかがいました。出迎えてくださったのは、横浜の女性農家の先駆者のお一人の三澤百合子さん(中央)です。左は、寺家ふるさと村四季の家スタッフの用田英理子さん、右は森ノオトの北原まどかです

 

森ノオト事務所のウッドデッキで大豆の選定。“石豆”と呼ばれる固くて小さな豆をはじきます

「津久井在来大豆」を作ってもらっています。一昔前は、この大豆がこのあたりでもたくさん生産され、味噌だけでなくさまざまな郷土料理になったんですね。まんまるでかわいい!

今年も新しい味噌の仕込みを寺家ふるさと村四季の家の農産加工室をお借りして行うことができました。

前日水に漬けた21kgの大豆がふっくらと膨らみ、仕込みのときを待っていました。少々黒豆も混じっています。三澤百合子さんによれば「2割くらい黒豆が入っても味噌の風味は変わらないのよ」とのこと

 

大豆をカゴに移して、“大王釜”にセッティング。圧に負けないように蓋を固定して、高圧で茹で上げます

 

茹で上がり、圧が下がったらようやく蓋をとって広げます。運ぶのは、二人がかり!茹で上がったほくほくの大豆をちょっと味見させてもらったところ、甘くて香ばしくて、これだけでも美味!!

 

支援者の一人の谷幸子さん(写真左)とみつはしさんの高校生の娘さん(写真右)も、この日の作業を手伝ってくださいました。柔らかい豆を機材に入れていくと、ふんわりマッシュされた大豆がどんどん出てくるんです。さすが味噌作り専用の工房

 

今回も、糀は瀬谷の川口糀店さんの米糀を20kg使います。ホッとするいい香り混ぜているメキシコ産の天然塩は、今回川口糀店さんからご寄付でいただいたものを使用しています。結晶が美しいです

 

マッシュした大豆を攪拌機に移して、混ぜ合わせた塩麹を加え、大豆の茹で汁を少々追加。寺家の味噌作りの講師の金子三枝子さんが、加える水分量ほか各材料の量を監修してくださいます

ちょっと脇道にそれますが、今回新たに教えてもらったことがあるんです。それは、大豆の煮汁の使い方のバリエーションです。

大豆の煮汁には汚れを落とす効果もあり、大王釜はじめ機材の洗浄には洗剤は不要なのです。大豆を洗ったり茹でた時に出てくる泡は、サポニンという洗浄成分であることはよく知られています。機材を洗う時には冷ました茹で汁を使い、しっかりと水で流すことで、とてもキレイに洗いあがります。

他にも、スープ、カレーに使ったり、出汁の代わりにもなるので、小分けに冷凍保存して味噌汁作りに使う人もいるのだそうですよ。お風呂に入れれば肌がすべすべになったりというアイデアもあるそうで、毎年大量に発生するこの大豆の煮汁の活用方法をもっと色々知りたくなりました……。

今年の味噌ダネも無事完成!あとはみつはし家に置いてある木桶へ詰めるだけです。この日協力してくださった皆さんで、集合写真、パチリ!

さて、木桶の待つみつはし家に移動してきました。昨年の味噌を発送し終えているので空ですが、蓋をとると味噌のよい香りが部屋いっぱいに広がります。

昨年と同じく、味噌を詰めるのはみつはし家の皆さんに協力していただきました。手前味噌プロジェクトを始めた時にはまだ乳飲み子だった一番下の息子さんも、今では小学生になり、上手に味噌を投げ込みます。

新しい味噌をぎゅぎゅっと木桶に詰め込みました。最後に、昨年の味噌のとっておいた分で一番上の層全面を覆い、今年の味噌仕込み、完了です!

今年の味噌も、おいしくなりますように……!

 

コロナ禍を経て、世の中がより効率的に変革しつつも、人の集まる場の貴重さも実感しています。大豆のこと、糀のこと、木桶のこと、横浜の農や食の伝統のこと……味噌作りを通してこのプロジェクトの社会的な使命のようなものを強く感じる1年でした。この先もプロジェクトのスタイルは変化していくかもしれませんが、同じ願い、同じ思いの皆様と味噌を通してこの先もかかわれますように……。

 

先日、遊休農地を活用する会の三澤元芳さんに、今年も大豆を生産してくださるようお願いしました。大豆や糀をネットなどで購入して手前味噌を作ることは広がってきましたが、農家さんや里山保全に関わる人、職人さんたちと直接つながって、作り手の思いや現状を知ることができる機会は決して多いとは言えません。横浜の農業は、生産地と消費地が近いことが特徴です。ぜひ、足元の農的空間を知り、地元の農家さんから野菜やお米を買うきっかけの一つに、この手前味噌プロジェクトがつながるといいなと思っています。

また1年後、この味噌をお分けし、新しい味噌を仕込めることを、プロジェクトメンバー一同心から願っています。

Information

「100人のひとしずく〜大豆・味噌トラスト活動」

https://syncable.biz/campaign/4326

 

このトラスト形式の「100人のひとしずく」プロジェクトも、おかげさまで3回を無事完了しました。

今回ご支援いただいた寄付金は、

・大豆購入代

・糀購入代

・仕込み会場費

・仕込み講師謝金

に使用させていただきました(味噌の送料は寄付金に含んでいます)。

 

支援してくださった皆様、関心を持ってくださった皆様一人ひとりのお気持ちがあって、このプロジェクトが続いています。心から感謝申し上げます。

Avatar photo
この記事を書いた人
松園智美ライター
まちづくりの専門誌、自然派住宅雑誌の編集部を経てフリーの編集&ライター業に。新潟の米どころ長岡市出身、今は港北ニュータウンの団地に暮らす3児の母。子らの育つこのエリアのことをもっと知って楽しみたいです。レイアウトやイラストのお仕事も好き。
未来をはぐくむ人の
生活マガジン
「森ノオト」

月額500円の寄付で、
あなたのローカルライフが豊かになる

森のなかま募集中!

寄付についてもっと知る

カテゴリー

森ノオトのつくり方

森ノオトは寄付で運営する
メディアを目指しています。
発信を続けていくために、
応援よろしくお願いします。

もっと詳しく