街を緑に!都市に森を!植木屋の若夫婦が行く!

地元Love探検隊

持田三貴子written by

私たちが普段口にする食べもので、化学肥料や農薬を使用せずに作られた野菜など「オーガニックな食べもの」を選ぶ機会はここ数年、徐々に増えてきているように感じます。しかしながら、一番身近な緑の空間であるお庭でも「オーガニック」という選択肢があるということをみなさんご存知でしょうか? すべての庭をオーガニックに!」というキャッチフレーズを掲げている造園会社Q-GARDENの代表・小島理恵さんにお話しを伺ってきました。

 

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「すべての庭をオーガニックに!」Q-GARDEN小島理恵さん

 

Q-GARDENの小島理恵さんは信州大学農学部森林科学科を卒業後、大手造園会社に就職しましたが、当時は「造園会社に就職したくなかった」という小島さん。

というのも、信州大学のある長野県の自然豊かな環境で学ぶうちに、「造園会社は化学農薬等を散布していて、環境を悪くしているのでは?」と漠然と疑問を感じていたといいます。

 

私も大学時代、造園科学科で学んでいたので(10年以上前の話)、庭や公園などの緑の空間を管理する上で、化学肥料を使用したり、化学農薬を散布したりすることは当たり前だと思っていました。

しかし、7年ほど前、有機農法や無農薬・無肥料でも野菜は育つということを知った時、それまで学んできたことの価値観がひっくり返って頭の中を稲妻が走りました。そして、造園でもそういった植物の管理ができるのでは?! と、興奮してすぐにインターネットで調べ、当時のQ-GARDEN小島さんを紹介するページが出てきたことを今でも覚えています。

 

小島さんは大手造園会社に入社するも3年ほどで退職。造園業界は建設業特有の古い体質もあってか、当時は女性が働きにくい環境もあったようです。

その後、花屋さんで経験を積んだのち、友人とともに造園会社を設立しました。大手造園会社では経験できなかった、庭のデザインから施工、管理まで一貫した庭づくりをして、その後独立。2011年に化学肥料や化学農薬を極力使用しないオーガニックな庭のデザイン、施工、手入れを行うことをコンセプトにした造園会社、株式会社Q-GARDENを立ち上げます。

 

Q-GARDENの小島理恵さん。造園業界では珍しい女性の社長さん! 軽快かつ面白くて分かりやすい語り口が印象的。専門学校や市民参加型のワークショップ講師など幅広く活躍している

Q-GARDENの小島理恵さん。造園業界では珍しい女性の社長さん! 軽快かつ面白くて分かりやすい語り口が印象的。専門学校や市民参加型のワークショップ講師など幅広く活躍している

 

小島さんがオーガニックな庭づくりを目指したのは、無農薬のバラ栽培研究家として有名な梶みゆきさんに、「一般的な造園会社は無農薬のバラの栽培管理をやらないから、やってみては?」と勧められたことがきっかけでした。

「サツキやハナミズキは1年に1回しか咲かないけれど、バラは1年に何回も咲くでしょう? だから人気があるし、バラが好きな人に無農薬で栽培できることを知ってもらえれば仕事になると思った」そう話す小島さん。

それまで、小島さん自身も庭の管理の際の農薬散布で気分が悪くなった経験もあり、現状に対してこれでいいのかと疑問を持っていました。しかし、急にそれまでのやり方を変えられないので、とにかく試してみようという気持ちで、まずは自宅で無農薬のバラ栽培を始め、「3年やってみて、こっちのやり方の方が良いと分かった」といいます。

 

取材は青葉台駅から徒歩8分の場所にある築50年の邸宅をフルリノベーションしてつくられたライフスタイルストアBADAI BASEにて。庭はQ-GARDENのモデルガーデンにもなっている

取材は青葉台駅から徒歩8分の場所にある築50年の邸宅をフルリノベーションしてつくられたライフスタイルストアBADAI BASEにて。庭はQ-GARDENのモデルガーデンにもなっている

 

車庫の上にあるため、土の厚みが出せなくて難しかったという庭。樹木を植えるため土止めの役割も果たす白い石のベンチ

車庫の上にあるため、土の厚みが出せなくて難しかったという庭。樹木を植えるため土止めの役割も果たす白い石のベンチ

BADAI BASE内のインテリアグリーンもQ-GARDEN小島さんがプロデュースしている

BADAI BASE内のインテリアグリーンもQ-GARDEN小島さんがプロデュースしている

 

Q-GARDENでは、個人邸の庭だけでなく、箱根にある「星の王子さまミュージアム」や東京ミッドタウン内にあるレストラン「Botanica」など、様々な空間の緑地管理を行っています。

昨年は「里山BONSAI」という、関東のヒノキの間伐材をくり抜いた鉢に、関東各地で採取した在来種の種から育てた苗木を使って、かつて森ノオトでも見学ツアーをおこなった進和学園の障がいのある方たちが寄せ植えをして、「里山を再生し、都市の緑を増やし、障がいのある方の就労支援にもつなげる」というプランター生産のプロジェクトのデザイン監修も行いました。

また、小島さんが講師を務める「オーガニックガーデナー養成講座」や「庭づくり講座」なども継続的に開催しています。

 

実は、私も2年ほど前にQ-GARDENの「オーガニックガーデナー養成講座」を受講した一人(私は3期生! 来年は1月から7期が開催予定)。オーガニックガーデナー養成講座では、オーガニックな庭づくりの基礎知識を身に付けるための講義や、剪定の実習もあり、参加していたのは、趣味でガーデニングをしている主婦から、実際に造園の現場で働く職人さんまで、多様な方々でした。養成講座を修了後、現地研修やビジネスマナー講習を受講すれば、Q-GARDENのスタッフとして登録して働くことができる、という仕組みもあります。

 

小島さん監修の100%天然成分由来の植物健康液と害虫駆除液

小島さん監修の100%天然成分由来の植物健康液と害虫駆除液

 

「庭づくりのお仕事は編集に似ている」。そう話す小島さん。

お客さんの要望、ライフスタイルや家族構成、敷地条件や環境条件、予算などを整理し、管理計画を立てた上で庭をプランニングする。そして施工の際も職人さん達の得意分野を引き出しながら、取りまとめていく。そんなQ-GARDENのお仕事を小島さんは「日本初のガーデンキュレーター」だと位置づけています。

 

BADAI BASE2階テラスの植栽。一日中日当たりが良いテラスという環境を踏まえ、乾燥に強い植物を選び、組み合わせがデザインされている

BADAI BASE2階テラスの植栽。一日中日当たりが良いテラスという環境を踏まえ、乾燥に強い植物を選び、組み合わせがデザインされている

「庭づくりは竣工した時が完成ではなく、植物の生長のスタート。10年後、20年後、その環境が今よりも良くなっていることを考えなければいけない。造園会社としてより良い環境づくりに関わらなければ、意味が無いと思わない?」

そんな小島さんの言葉に、私も植木屋の嫁として造園業界に関わる者として、ハッとさせられました。

 

「オーガニック」という言葉には「本質的な」という意味もあります。「オーガニックな庭づくり」は「化学農薬などを使用しない」という表面的な意味だけでなく、緑のある空間が今以上に本質的に豊かな空間になることを目指しているのです。

 

小島さんの豊富な現場経験から出るありのままの言葉と、よりよい未来の環境を見据えて、ブレない芯の通った姿勢がもう本当にカッコよくて! 造園業界の先輩として、女性として、本当に尊敬しています。

 

取材を終えた先日のこと、自宅の庭で遊ぶ子どもたちを眺めていたら、1匹の黄色い蝶々がどこからともなくふわふわと飛んできて、お隣さんの庭の方へ飛んでいきました……私たちの環境は全てつながっています。

自分の一番身近な緑の空間が本質的に豊かになることは、地域や地球そして環境全体が豊かになっていくことにつながっていく。そう感じました。

インフォメーション

「すべての庭をオーガニックに!」Q-GARDEN小島理恵さん

■Q-GARDEN

「すべての庭をオーガニックに!」

http://q-garden.com/

ライター紹介

持田三貴子

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2010年秋に長男、2013年春に長女を出産、2児の母であり、植木屋の嫁。自然食品のお店で働いたことがきっかけで、ナチュラルライフや、ナチュラルな育児を目指している。現在、石けんなし生活実践中!好きなことは、山のぼり、畑しごと、バック作り。 ■オフィシャルサイト「庭乃持田園」

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