晩秋のとある昼下がり。ぽかぽかとお日様の温もりあふれるログハウスでは、数人の女性客がおしゃべりに花を咲かせています。ふらりと席を立って店内奥にある雑貨店「おひさまのたまご」で器や小物を物色しては、お気に入りを見つけてニコニコ笑顔になる人。珈琲を片手に読書に没頭する人、ぼーっと外を眺めながら一息つく人、それぞれが憩いの時間を楽しんでいるようです。
この日のランチは天然酵母パン、豆腐ときのこのコンソメスープ、チキンのカレーソテー、切り干し大根とひよこ豆のトマト煮、さつまいもとかぼちゃのサラダ、秋なすの胡麻和え。野菜を中心としたメニューで、味付けはほんのりとやさしく、食後のデザートまでついてほどよい満腹感。ランチにはシフォンケーキがつきますが、お値段をアップグレードすれば本日のケーキまたはケーキ3種を盛り合わせた「よくばりさんのにんまりプレート」を選べます。ドリンクは自家焙煎店から仕入れるシュルツブレンドのほか、店内併設の古本屋「儚い堂」店主が淹れる土日限定の儚い堂珈琲が人気です。
ケーキを焼くのはオーナーの近藤由美子さん。ベースはアメリカで習ったホームメイドのケーキで、レシピを少しずつ近藤さん流にアレンジしてオリジナルの味わいを完成させました。パウンドケーキやキャロットケーキ、ベイクドチーズケーキ、セサミクッキー、ピーナツバタークッキー……。素朴なものばかりですが、どれも飽きのこない、ついつい手が伸び得てしまう魅惑的なお味です。いわゆる既製品のように砂糖のあまさばかりが際立つのではなく、粉のうまみ、バターのコク、ほんのり効いた塩加減などが絶妙です。
その理由の一つに、「自然素材のお菓子」と謳ってもよいほどの厳選素材を使っていることがあります。国産の小麦粉、北海道産のバター、オーガニックシュガー、エサや育て方まで配慮した鶏卵、ゲラントの塩や有機ナッツなど。お料理でもよい調味料を使い、野菜も隣の産直などから新鮮なものを選んでいます。「一生懸命働いている方に、健康なものを食べてほしいと思ってつくっています」と、近藤さん。店内に息づく居心地のよさは、近藤さんのやさしく細やかな気づかいの賜物でしょう。
新鮮で安全な素材を使い、心をこめて、ていねいにつくって供する……。それがはっきりとわかるくらいに、シュルツカフェの食事やお菓子はしみじみと美味しいのです。ここに来るとみんなほっとするのでしょう、店内はいつも和やかでやわらかな空気で満ちているのです。
*キタハラ’s eye*
寺家ふるさと村を散策中に見つけたシュルツカフェ。私はちょこっとずつ、いろいろ食べたい派なので、ランチセットのおかずの種類に感激! ひとたび食せば、料理やお菓子の一つひとつが本当にていねいにつくられているのがわかり、以降大ファンに。雑貨や古本もお店の雰囲気とぴったり合っていて、ごはんの後はケーキと本と……と、ついつい長居してしまいます。
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