(Text:高鳥可那)
駅から徒歩1分。センター南駅のエスカレーターを降りてすぐ左の店舗の間を出て直進、十字路の左手に「発酵カフェ ハタケト」があります。
この日は小さな畑が初夏の風をのせて迎えてくれました。
店内に入ると日中は陽が入り、小さいながらもなんだか心地いい雰囲気。
今年1月にオープンし、テンペを始めとした発酵食品や有機野菜を使用したお料理が特徴のハタケト。メニュー構成から一見女性好みにもみえるのですが、ランチタイムはOLや主婦の方々のほか、サラリーマンの姿も。
看板メニューのテンペバーガーをいただいたところ、納得。まるでお肉のよう! テンペの豆が主張しすぎず、とても食べやすい。麻の粉末、自家製豆乳マヨネーズが絶妙な隠し味で、これはクセになりそうです。
テンペを使ったアイスもいただきました。ハタケトならではの発酵食品とテンペのコラボスイーツ。まろやかな和風の味のベースはなんと味噌! 意外な美味しさです。
とっても個性豊かなメニューの数々。う〜ん、あれも気になる、これも食べてみたい! 好奇心がそそられるものばかり。
「このプリンも人気ですよ。」
とオーナーの入海健さんが出してくれたのは発酵手づくりプリン。お店で一番人気のスイーツ。一見普通のプリンのようですが……? 実はキャラメルの部分に20年熟成古酒みりんが使われているのです。みりんが上品さを引き立てます。
テンペ味噌アイスに続き、和とも洋とも言える不思議だけどやさしい味わい。どちらもお子様にもおススメです。
プーアル茶が苦手な私ですが、既にリピート3回。プリンとよく合います。
入海さんは大学時代に産学連携で起業することを目指し、発酵と微生物学を研究していました。発酵に関する質問をすればなんでも気さくに答えてくれます! 発酵博士と言っても過言ではありません。
そんな入海さんがテンペに出会ったのは、勤めていた会社が倒産し、コンビニでアルバイトをしている時のことでした。
「学生のころからいつかは起業したいと思っていたんです。じゃあ何を素材に起業しようかと探し回っていた時、大学で授業を受けていた先生が30年テンペを研究されていて、偶然にもその研究発表を見たことがきっかけでした。」
テンペは生活習慣病予防や中性脂肪の抑制にも効果が期待される発酵食品。世の中にテンペを広げたいという先生の熱意に賛同し、テンペの製造加工会社、テンペストフーズを立ち上げました。
会社設立後、マクロビオティックに携わる方や有機農家さんと知り合う機会が増え、自社製テンペを使った料理が食べられるお店「発酵カフェ ハタケト」をオープンしたのが今年1月のことです。
横浜市出身の入海さん。若い子育て世代と子どもに喜んで食べてもらえる食材を発信出来る場所、とセンター南を選んだそうです。
今までアジアン料理屋などで色々なテンペを食べてきましたが、ハタケトのテンペは初めての人でも本当に食べやすい。
その秘密は種菌にありました。本家インドネシアの種菌はクセが強かったため、国産の種菌に変えたところ、日本人の味覚に合うテンペが出来たそうです。またその種菌は私の出身地でもある北国秋田県産というのだから驚きです。
もちろん、ハタケトで使っているテンペはお店で買えますよ! ヒヨコ豆テンペは希少なので入荷したらお早めに。
「テンペは変幻自在でとてもユニーク。豆のほか、麦、トウモロコシ、お米などでもつくれるんです。食品のほか、菌としてもテンペ菌発酵茶など色々なものになります」
入海さんのお話を伺っていると、テンペの未知数の可能性にわくわくしてきます。
単に健康食品ショップやレストランとしてではなく、沢山の人に楽しく美味しくテンペを発信できるアンテナショップでありたいと入海さんは言います。
ベジタリアンの方やそうでない方、お肉大好きな方にも喜んでもらえるメニューや商品も日々開発中。
イキイキとテンペの可能性を引き出す入海さんの姿は輝いて見えます。
正にテンペスト(嵐)のようにテンペが世に広がり、気付けば様々な形で普段の食卓に並ぶ日が来るかもしれません。
「発酵カフェ ハタケト」がテンペと一緒にどう発酵していくかがとても楽しみな気持ちで取材を終えました。
発酵カフェ ハタケト
住所: 神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎中央43-16ミレナリオビル101
TEL: 045-532-3706
営業時間: 11:30〜21:00、土祝12:00〜21:00(ラストオーダー20:30、日曜はイベント開催日は営業)
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