産後は仲間で助け合い! 森ノオトの幸せな産褥サポート
わたくしごとですが、キタハラは8月半ばに第2子を出産しました。長女出産の年に森ノオトを立ち上げ5年、その間、地域にたくさんの子育て仲間ができました。NPOの代表として迎えた第2子の出産と産後、仲間の思いやりに支えられた何とも幸せな産褥期のお話です。

産後11日目、退院して1週間後に訪問してくれた松山ちかこさんと富山美希さんのベジごはん

「産褥期」ーーさんじょくき、と読みます。わたしは長女を妊娠するまで、この言葉を知りませんでした。産褥期とは出産後、妊娠期間に大きくなった子宮が元の大きさに戻るまでの期間のことをいい、通常は6週間から1カ月ほど。十月十日かけて大きくなったお腹は出産直後に急激に小さくなり、お産によって広がった骨盤も一気に閉じます。子宮からの出血もあります。産後の女性のカラダは妊娠期間以上に大きく変化し、慣れない授乳と24時間休みなしの新生児の世話で、身も心もくたくた。

 

「産後の女性は授乳や育児以外の家事はせず、女王様のように振る舞うのがベスト」と言われても、上の子の育児もある場合や、身近に頼れる両親や親戚がいなければ、そうもいかないのが現実です……。

 

産後12日目は出版社時代の同僚が重箱にお弁当をいっぱい詰めて持ってきてくれた。「毎日子どもの弁当つくっているから、ついでよ」の一言がありがたかった

 

森ノオトのリポーターは現在27名ですが、毎年3-4人の新しいベビーが生まれる大所帯です。それだけ産後生活を送る女性がいるということでもあり、以前から「まずは森ノオトメンバーで率先して産後のサポートをすることで、地域で支え合える関係をつくっていきたいね」と話していました。そして、誰かの赤ちゃんが生まれるたびに、自然に「手伝おうか」「ごはん持っていこうか」という声がけがなされるようになってきました。

 

「わたしの産後の時も頼むわー」なんて言いながら、妊娠期間中は仕事が忙しかったため、具体的な段取りをすることかなわず、、怒濤の出産劇。でも、森ノオトリポーターたちの温かな思いやりのおかげで、我が家の産後サポートはたいへんスムーズにありがたく進んだのでした。

 

森ノオトの打ち合わせついでに中島美穂さんがつくってきてくれたお弁当をいただいた

 

産後5日目の退院以降、長女の送り迎えや夕食などで義父母や夫に頼りっぱなしでしたが、そろそろ家族でごはんを食べるペースに戻したい退院後1週間目から、森ノオトの仲間たちによる「幸せごはん」な日々が始まりました。

 

まず、来てくれたのが松山ちかこさんと、NPO会員でもある富山美希さん。二人は幼稚園のママ友で、得意技は「癒し」という共通点があります。特にちかこさんは女性の産後ケアの分野に詳しく(ママ・チョイスのスタッフとして骨盤ケア教室のサポートもしていました)、妊娠中から骨盤ケアについて相談していました。そんな二人が、産後のカラダにやさしいベジごはんをたくさん抱えて訪問してくれたのです。

 

ちかこさんが産まれたばかりの次女を見守ってくれている間、美希さんが別室でわたしの全身をオイルマッサージ。温かくて大きな美希さんの手が全身を包みこみ、久しぶりの授乳や抱っこでこわばったわたしの肩や腰がほぐれていくのを感じました。その間、次女はちかこさんによって「おひなまき」されておとなしくねんね。美希さんの施術後、ちかこさんの手技で頭の緊張がゆるみ、何とも至福の時間でした。

 

札幌出身の高山えりかさん作のスープカレー。スパイスたっぷりの薬膳カレーは身も心も癒してくれた

 

実はわたし、出産直後というものの、『たまプラーザの100人』の制作や、森ノオトの記事の編集・入稿、NPOの経理や月末振込など、産後10日目からデスクワークを始め、仕事復帰していました。

 

次女はおとなしく、夜もたっぷり寝てくれるので、それほど疲れは感じないものの、なるべく休んでいたい産褥期に仕事をする自分に引け目を感じていたのも事実。NPOの代表者ともなると代わりのない仕事もあるので、自分を騙し騙しできる範囲で仕事をし、そんななかで、家事負担は出来る限り軽減したい、それを叶えてくれたのが、愛すべき森ノオトの仲間たちでした。

 

特に炊事や後片付けでの立ち仕事、水仕事は避けたい家事の一つです。毎日のように友人がたっぷりおかずを持ってきてくれたので、わたしがやるべきことは、盛りつけるだけ。我が家のごはんはいつもより豪華、かつヘルシーで、夫も娘も「今日は誰のごはん?」と、食卓での会話もはずみました。

 

お隣に住む森ノオト料理部リーダーの大西香織さんの秋ごはん。この日香織さんは同じリポーターで初産の菊地明子さんを見舞ったばかり

 

結局、産後1カ月まではほとんど友人のごはん、義母のごはんと、生協の宅配で乗り切り、仕事復帰が早かった割にはカラダも休まって、とても幸せな産褥期でした。

 

産後6週間が経ちわたしが感じたことは、「おせっかいをするスキル」を持つ人が増えてほしい、ということ。現代は核家族化が著しく、この辺りは地方出身者も多い。特に第1子の出産直後は地域に仲間もいなくて、初めての育児に戸惑う人も多いと思います。出産前にママ友をつくるのは現実的に難しいとしても、二人目育児であればママ友もいるし、産後の大変さも知っている。「あの子、大変そうだな」と思ったら、声をかけ、おかずの一品を持って訪れ、時間を一緒に過ごしながら悩みや不安に耳を傾ける……。そんなおせっかいスキルがあれば、自分に助けが必要な時の「頼るスキル」が身についたも同然です。

 

結局、「森ノオト流産褥サポートシステム」を構築するという浅はかな目論みも必要ないくらい、「仲間を思うおせっかいスキル」のおかげで、幸せ産後ケアは森ノオト周辺で伝播しているようです。森ノオトメンバーのFacebookの書き込みをみながら、胸の中に温かい気持ちがじわーっとわき上がっているのを感じる、幸せな第2子育児生活を送っています。

 

ちかこさんに教えてもらった「おひなまき」で、次女はいつもご機嫌、すやすや眠っていてくれる

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この記事を書いた人
北原まどか理事長/ローカルメディアデザイン事業部マネージャー/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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