地産地消の鮮烈さ! しぼりたてミルクの牧場が横浜に!?
地産地消が盛んな横浜では、畜産、酪農を手がける農家が数件あります。瀬谷区の「相澤良牧場」は、牧場併設のオーガスタミルクファームが大人気。しぼりたての牛乳やジェラート、ソフトクリーム、プリンなど、乳製品を通して、牧場がある地域の魅力に迫ってみます。

地産地消の料理人・椿直樹さんが相鉄いずみ野線「いずみ野」駅前に2店舗目となる「ど根性キッチン」をオープンして、もうすぐ1年になります。横浜駅西口の「大ど根性ホルモン」に増して地産地消の輪を小さくしていこうと、泉区近郊産の野菜を中心に、生産者の顔が見える店づくりをしています。
 
ランチ時間帯は主婦が多い土地柄もあり、スイーツメニューにも力を入れている「ど根性キッチン」。スイーツになくてはならない牛乳を仕入れているのが、これまたご近所、瀬谷区阿久和町の「相澤良牧場」です。

 真っ赤な三角屋根が目印の「オーガスタミルクファーム」。駅から遠い不便な場所にあるが、しぼりたて牛乳のアイスやミルクをめがけて、お客さんが後を絶たない


 
相澤家で乳牛の飼育を始めたのは、戦後間もない昭和20年代です。「母の兄が戦争から帰還して、栄養のあるものを食べさせたいという思いから、兄のために家族で乳牛を飼ったのがスタート」と、相澤良牧場の代表・相澤広司さん。
 
その後、伯父さまは元気になり「牛乳に世話になったから、牛乳を家業にしたい」と牛を10頭飼い、相澤良牧場を立ち上げました。その後、相澤さんが家業を継ぎ、順調に乳牛の数を増やして、今ではホルスタイン50頭、ジャージー2頭、ブラウンスイス3頭を数えるまでになりました。

オーガスタミルクファームに着いたら、まずはしぼりたてのノンホモ牛乳(ノンホモジナイズド:均質化しない牛乳そのままの風味を感じられる低温殺菌の牛乳)を召し上がれ。プリンやジェラートも人気


 
今から10年ほど前までは、大手牛乳メーカーへの卸売を中心に酪農をしていた相澤さんですが、2009年の開国博Y150(横浜港開港150年を記念した地方博覧会)の際に、「横浜市産の牛乳」として瓶詰め牛乳を販売しました。
 
「その時に飲んでくれた子どもたちが、学校の牛乳よりおいしい! って言って、目を輝かせるんだよ」と語る相澤さん。消費者への直売に手応えをつかみました。つくった牛乳をただ卸すだけの日々とは異なり、「飲んだ人の“おいしい”の一言を聞くとやめられなくて」と、卸売は続けながらも、消費者の顔を見て商品を売る、そのおもしろさに突き動かされ、2013年にはオーガスタミルクファームを立ち上げました。

この子はミスコンテストで優勝した「スイートブライヤー」ちゃん。骨格のよさと乳量の豊富さが決め手になるそう


 
お店の看板メニューは「ソフトジェラート」です。牧場直営となると、ソフトクリームかと思いきや……「うちは、ソフトクリームの単品は売っていないの。ジェラートと一緒に食べるのがオリジナルなんだよ」と、いたずらっ子っぽく微笑む相澤さん。毎週変わる季節のジェラートと、しぼりたてミルクのソフトクリームは、さっぱりしていて相性抜群です。
 
ほかにも、牛乳のおいしさが生きるプリンは、クリーミーな味わいが大人にも子どもにも大人気。「プリンは、ホルスタインとジャージーとでわけてつくったんだ」とか。ジャージー種は乳脂肪分が多く、こっくりとした濃厚な味わいで、食べれば違いが明白。食べ比べてみてもいいですね。
さらに、牧場直営ならではの、しぼりたてミルクの飲み放題もあって、牛乳好きにはたまりません。冬はシュークリームが人気で、季節によって商品ラインナップを変えるなど、工夫を絶やしません。
 

相澤さんを見かけると、すり寄ってくる牛たち。「でも、情は持たないようにしている。生き死にが当たり前の世界なので」と、冷静さを失わない


牧場では、衛生管理に目を光らせ、「いかに牛に病気をさせないか」に気を配っているといいます。「抗生剤を使った牛の乳は、出荷できなくなります。牛を健康に保つためには、衛生管理が何よりも大切です」と、気を引き締めます。
 
牛舎を案内している時も、「あの子はもうすぐ用を足すよ」「あと2、3日で出産だな」と、牛の顔を見ては瞬時に状態を察知し、教えてくれる相澤さん。お乳の質をよくするために、毎日牛たちの顔を見て、健康状態を判断し、育てていく。でもそこには、「情」を持たずに、酪農のプロとして品質管理をしていくんだという気概を感じました。
 

「椿さんにうちの牛乳を使ってもらえるのは、うれしいね。この間、お店の前で子牛のふれあいイベントをやった時にはインパクトがあったねえ。駅前に牛がいるなんて(笑)」と、朗らかに笑う相澤さん(左)と椿さん


 
椿さんは、「相澤さんの牛乳を使うようになってから、ホワイトソースの味がすごくよくなってきて、牛乳で全然違ってくるんだなあ、と驚きました。カフェラテをつくってもおいしいし、近くでこうした関係を築けるのは幸せですね」と話します。
 

各地のイベントではこのケータリングカーで出張販売をおこなう。この春は「全国都市緑化よこはまフェア」の里山ガーデンで大人気だった


 
相澤さんは、決して雄弁ではありませんが、淡々と語るその口調に、「おもしろいことには、とにかくチャレンジしてみよう」という前向きさを感じられます。「牛乳で元気になった、その恩返しをしたい」という初代の気持ちを受け継ぎ、初代が受け取った「オーガスタ」という牛がコンテストで受賞した時の賞状と盾を、大事に飾り、お店の看板にしています。
 
今では珍しくなった「横浜での酪農」。しぼりたて牛乳のおいしさは鮮烈で、採れてすぐに食べられるという地産地消の醍醐味を、ダイレクトに味わえます。産地のすぐそばに、飲めて、食べられる場所がある。相澤良牧場は、都市型酪農の一つの形を示しているのかもしれません。

Information

Augusta Milk Farm(オーガスタミルクファーム、相澤良牧場)

http://www.augustamilkfarm.jp

住所:神奈川県横浜市瀬谷区阿久和南3-11-11

TEL045-744-7831

営業時間:10301600

定休日:1月、2月の月曜日

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この記事を書いた人
北原まどか理事長/ローカルメディアデザイン事業部マネージャー/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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