冬の省エネ、コツは「選択と集中」!
今年、森ノオトとコラボしている東京・稲城市の老舗工務店「大丸建設」。国産材・自然素材のエコな住まいづくりを得意としています。大丸建設専務の安田佳正さんに、この冬おさえておきたい省エネのポイントについてお聞きしました。

すっかり森ノオト読者にもお馴染みになった、大丸建設の安田佳正専務


 

「住まいの省エネで工夫すべき点は、大きくわけて二つです。“住まいの工夫”では、快適性と健康を向上させます。同時に、“機器・設備の工夫”も組み合わせていきます」
 
こう話すのは、東京都稲城市で明治初期から代々地域工務店を営む大丸建設の6代目・安田佳正さん。環境省認定の「うちエコ診断士」でもあり、住まいの省エネについての豊富な知識をお持ちです。安田さんによると、「省エネ」のポイントは6つあるとのこと。
 
・「暖房」…暖房では断熱性能や機密性能を向上させ、適切な暖房機器を選ぶ。
・「冷房」…冷房では日射を遮り、風通しをよくし、適切なエアコンを選ぶ。
・「給湯」…給湯では設備機器を効率のよいものにしたり、太陽熱給湯器などを利用する。
・「照明」…照明では太陽の光を採り入れ、LEDなど高効率照明を導入したり、調光機器や人感センサーを設置するなど運用面でも工夫する。
・「換気」「発電」…24時間換気扇の使い方に注意し、太陽光発電や家庭用燃料電池の導入を検討します。
 
「断熱改修は設備機器を変えるよりも、窓などの外皮を改修する方が全体的な効果や住まいの快適性は上がります。しかし、コストも工期もかかるため、必ずしもすべての方にお勧めしているわけではありません。ご自身のライフスタイルと予算に合わせて、適切な方法を選ぶのがいいでしょうね」と、安田さん。
 
 まずは年間の消費電力量を減らそうということであれば、古くなった家電を順に最新の省エネ型に変えていくのが一番。環境省の「省エネ製品買替ナビゲーション しんきゅうさん」を使えば、冷蔵庫、エアコン、テレビ、温水洗浄便座、照明機器について、機器の新旧での消費エネルギー量や電気代を比較することができます。
https://ondankataisaku.env.go.jp/shinkyusan/
 

大丸建設の住まいは国産の無垢材と自然素材でつくる。自然素材の省エネ性能についても熟知している安田さん(写真提供:大丸建設)


 
 住まい全体の断熱性能を考えるのであれば、今、最も効果が高いのは窓の断熱改修です。シングルガラスのアルミサッシは結露しやすく、断熱性能も低いので、ペアガラス(複層ガラス)やLow-Eガラスといった特殊金属膜を挟んだ遮熱性もあるガラス、熱を伝えにくい樹脂や木製のサッシに変更することで、冷暖房の効率があがり、窓際の結露を防ぐことができます。
 
 また、安田さんは屋根の断熱について、「手を付けると大変ではあるものの、実は暖房だけでなく冷房にも効くので、全体的な効果は高いと言えます。屋根は無理でも天井面に断熱材をプラスオンするのは、意外とコストがかからずに効果は高いので、おすすめです」と言います。
 プロならではの着眼点としては、壁と床の境目の「気流止め」の箇所には熱が集まるので、隅角部の断熱が十分でないと、せっかく温めた部屋の熱が逃げてしまうとのこと。断熱改修の際は気流止めの対策は必須だそうです。
 
「基本的な断熱性能が高い家ならば、夏の暑い時も冬の寒い時も、温度による不快感を感じることがなく、とてもラクで快適に過ごせます。理想的には冬場の朝起きた時に15℃を下回らない住まいの性能があれば完璧です。しかし、ほとんどの家では難しいと思います」と安田さん。
 これからどんどん寒くなるので、住まいの暖房をする時のポイントは、いかに「保温」するか、つまり温めた熱を逃がさない工夫が大切です。
 
「近年ではリビング・ダイニング・キッチンがひとつながりになった、大きなLDKが戸建て、集合住宅に関わらず主流です。家族が過ごす時間が長く、かつ暖房エリアが広い場所ほど、断熱性能を改善した時の効果は大きいと言えます」(安田さん)
 
 家全体の断熱改修は予算的に難しくても、まずはリビングの窓だけを断熱性能の高いものに変えれば、家族の居室は快適になります。それよりも睡眠の質をよくしたい、朝起きた時の冷え込みをなくしたいということであれば、寝室の窓改修を先行する、というように、まさにライフスタイルに合わせて断熱改修もポイントからおさえていくという手もありますね。

無垢の杉材は多孔質で調湿性能がある。断熱リフォームに自然素材を使うのは有効(写真提供:大丸建設)

 一方、高齢者の住まう家の場合は、優先順位は変わってきます。「寒暖差のある家が高齢者のリスクになる」という、衝撃のデータがあるのです。ヒートショックといって、冬場の入浴時の急激な体温変化で死亡する事故は、年間約1万7000人(東京都健康長寿医療センター研究所調べ、2011年)と言われ、実に交通事故死亡者数の4倍もの数字です。高齢者の死亡原因の一つとも言われるこのヒートショック、洗面・脱衣所とリビングの寒暖差をなるべく少なくする工夫が求められます。
 森ノオトでも「浴室の窓にはめるだけのDIY内窓 ヒートショックにさようなら?」の記事で紹介しましたが、床にすのこを敷いたり、カーテンなどで窓からの冷気の侵入を防いだうえで、暖房器具をつけるなど、できることから始めて、住まい全体の断熱改修を考えるときに、家族構成にあわせて洗面所や老化の寒暖差を減らすリフォームに取り組んでもよいのではないでしょうか。
 
 普段から身近に「出入りの工務店」があると、住まいのちょっとしたことでも相談しやすいものです。大丸建設の得意分野をfacebookページでもちょこちょことお知らせしていますので、ぜひアクセスしてみてくださいね。
https://www.facebook.com/kkdaimarukensetsu/

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お申し込み・お問い合わせ:

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主催:NPO法人森ノオト

共催:株式会社大丸建設

Profile

株式会社大丸建設

http://www.kk-daimaru.co.jp

住所:東京都稲城市大丸71-2

TEL 042-377-4441

E-mail info@kk-daimaru.co.jp

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この記事を書いた人
北原まどか理事長/ローカルメディアデザイン事業部マネージャー/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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