テイクアウトのごみ問題解決!? 鍋ごと、皿ごと、マイ食器歓迎のお店
地元の飲食店でテイクアウトが広がりを見せ、わが家の食卓でプロの味を楽しめるようになりました。一方で、使い捨て容器のごみが増え、台所のごみ箱は飽和状態。ごみを出さないテイクアウトを進めている「食堂POCO」「コマデリ」「2.bananeira」の取り組みを紹介します。

このゴールデンウィークは「ステイホーム週間」との異名がつき、ほとんどの方が自宅と、その周辺のお散歩というスタイルで過ごしていたのではないでしょうか。そんな生活のなかでの楽しみは、家でおいしい料理を食べること、そして飲むこと。朝ごはんを食べた直後から、今日の夕ごはんは何にしようかと考える日々でした。

 

一方で、ごみの多さにはため息が出ました。ごみ集積所には山のように家庭ごみが出され、特にプラスチック容器回収の日には、私の目視でもそれまでの倍はあろうかという量。最近、ごみ収集車が来る時間が遅いと思っていたら、収集しきれないほどの量になって、担当の方が苦労しているとのことでした。

 

飲食店にとっては、今はテイクアウトを定着させることが死活問題ですが、容器包装のごみをユニークなアイデアで減らしていこうとがんばっているお店もあります。私のお気に入りの3店舗の工夫をお伝えします。

 

鍋ごとテイクアウト!の「食堂POCO

 

オーガニックや自然栽培の野菜や調味料を使い、ていねいでボリューム感のある食事を提供する「食堂POCO4月からは店内飲食を全面的に縮小し、予約制のお弁当販売と、週に2回の「鍋ごとテイクアウト」を始めました。

 

「テイクアウトって、どうしてもごみが出るじゃないですか。それがイヤで、どうしたらいいかと思って始めたのが、鍋ごとテイクアウトです」と、店主の平野育子さん。

 

サーモスのシャトルシェフは、レバーハンドルがついていて、汁物を持ち運びする時に便利。キャンプ用に買ったものだが、テイクアウトにも大活躍。平野さんは、付け合わせの容器の持参も呼びかけており、やむなく使い捨て容器を用いる際は別途料金をもらっているという

 

グリーンカレー、嬉々豚のミートボールカレー、ルーローハンなど、POCOの看板メニューや限定メニューが5人前4000円前後で食べられて、お客さんが持参した鍋に移し替えてお渡しするというスタイルで、これが大人気になりました。

Instagramで予約を受け付けると、あっという間に完売してしまうほどです。

 

わが家でも嬉々豚のミートボールカレーをいただいたが、自分では絶対につくれない味で、しかも子どもでも食べられるマイルドさ。食の細い5歳次女もペロリと平らげた。3児の母でもある平野さんの心づかいが、とてもありがたかった

 

「外出の自粛が呼びかけられるなかで、3月、4月は店舗営業がかなり厳しかったんですけど、この鍋ごとテイクアウトは本当に人気で、お客さんに助けられました」と平野さん。

我が家で使っている鍋を持ち込み、家では鍋を温めるだけ。主食は自分で用意するので、お財布にもやさしいのがありがたい。いろんなところで広がってほしい取り組みだと思いました。

 

食堂POCO

住所:横浜市青葉区みたけ台44-1

営業:12:0017:00LO14:30)、日月休

TEL 045-511-8363

HP:  https://syokudoupoco.stores.jp/

新型コロナウィルス感染拡大防止のため短縮営業中。鍋ごとテイクアウトの情報は、Instagramで確認してください。

https://www.instagram.com/syokudou_poco/

 

当初から変わらずマイ食器割引の「コマデリ」

 

「こんな時だからこそ、お客さんの“おいしかった”の声がうれしい」と、小池スマイル!

 

キッチンカーでお弁当を売るスタイルを6年間続けているコマデリは、開業当初から、テイクアウトの容器は環境負荷の少ないバガス製(植物繊維)で、マイ食器は20円引き、マイ箸やスプーンの持参時には10円引きのサービスをおこなっていました。森ノオトで毎月1回開催していた「いいかも市」では、食事提供時にリユース食器を使って100円の預かり金を受け、食器返却時に100円返却するデポジットスタイルを自らまわすなど、リユース&マイ食器普及の先駆者でもあります。

 

「リユース食器やマイ食器という選択肢があるのだから、それを使わないわけにはいかないんですよ」と言い切るコマデリの小池一美さん。2013年に、森ノオトとあおばを食べる収穫祭を始めた時から、一貫してリユース食器にこだわってきた同志です。

 

コマデリは、事前予約でテイクアウトやデリバリーにも対応しています。マイ食器に合う形で予算を組み、お弁当をつくってくれます。

 

私は、事前に小ぶりの三段重を持ち込み、「4人家族で、主食は自分で用意します。これに入るだけおかずを詰めてもらえませんか?」と頼みました。小池さんは「ざっとみて、1人分600円くらいかな」と試算。「その時の旬の食材を使うので、お任せでいいですか?」とのことで、もちろん!と答えました。

 

メインは唐揚げ、ミートボールに、ひじきの煮付け、菜花のくるみ和え、キャロットラペ、マカロニサラダと、ボリューム満点!

 

彩りも鮮やかな料理が詰まったお重をAppliQuéのマルチクロスに包んで持ち帰り、そのままお重を食卓に出して、炊きたてのごはんと一緒に食べました。コマデリの料理は、地元の旬の野菜をたっぷり使っており、子どもたちにも安心して食べさせられます。

お重はそのまま洗って、お箸とお椀と皿を片付けて、家庭料理の延長のようで、テイクアウトでもごみが出ず、気持ちがとても楽なのです。

 

コマデリ

月曜:青葉台駅前郵便局、水曜:美しが丘西郵便局で11:0014:00、木曜:青葉区役所4階で11:3013:30にお弁当を販売。コマデリハウス(森ノオウチ)でのテイクアウトや、デリバリーにも対応。

住所:横浜市青葉区鴨志田町818-3

TEL070-6462-4121

HPhttps://koikehitomi.com/services/comadeli/

 

キャセロール丸ごとテイクアウトの「2.bananeira

 

ドイスバナネイラは、もえぎ野公園のすぐ向かいにある。隣接したもえぎ野ふれあい樹林は地域住民によって植生が保護されており、季節の草花の豊かさに癒される

 

3月上旬のある日、私は藤が丘のオーガニック&ヴィーガンカフェ「2.bananeira(ドイスバナネイラ)」SNSを見て、地元の飲食店がおかれている危機的な状況に心が揺さぶられました。送別会、謝恩会などが軒並みキャンセルになり、仕入れている野菜が出番を失ったまま冷蔵庫に待機しているという悲痛な叫びに、「この状況が続けば、地域の大好きなお店を私たちが失うことにもつながりかねない……!」という思いを抱いたのです。

 

その日のランチはドイスバナネイラへ。私も、娘の学校が休校になったばかりで、先行きの見えない不安を抱えていました。店主の加藤美緒さんとその場に居合わせたお客さんと一緒に、お野菜の活用法のアイデアを出し合いながら、お惣菜販売や、加工品販売、地域での支え合いについて語り合った時間は、私にたくさんの元気を与えてくれました。

 

その後、バナネイラは店頭でのお弁当販売や、お惣菜のテイクアウト、グルテンフリーミックスのパンケーキ粉の開発販売など、次々に新機軸を発信していきました。

バナネイラではお惣菜を「コンフォート(Conforto)」と呼んでいます。補助、安楽、支えという意味を持つコンフォートは、栄養だけでなく、困った時の助けの一品という位置付けにもなります。コンフォートを始めた当初から「容器持参」を呼びかけていたバナネイラ。私も、野田琺瑯の小さな容器をスタッキングして持っていき、コンフォート2品を150gずつ持ち帰りました。三食を家で食べる日も増えてきた時に、オーガニックな野菜料理が冷蔵庫にある安心感は、食事づくりの負担軽減にも役立ちました。

 

4月からはキャセロール丸ごとテイクアウトの「ギュギュッとバナネイラ」がスタート。大きなキャセロールの中に、野菜のデリ57種類、ベジザンギ(大豆ミートの唐揚げ)がセットになっていて、見た目にも華やかです。4人前で3,000円(税別)、キャセロール代を1,000円追加で支払い、そのまま返さずに家で使ってもいいし、返却すればデポジット(預かり金)として1,000円が戻ってくる仕組みです。

 

「コンフォートの利用は、多くのお客様がマイ食器を持参してくださるので、助かっています。できる限り容器のごみを出さないようにしたいと思って、キャセロール丸ごとテイクアウトを始めたのですが、それを理解して応援してくださるお客様が多くて、ありがたいです」(加藤さん)

 

我が家からバナネイラまでは、徒歩10分くらい。マチのあるエコバッグにキャセロールを入れて、もえぎ野のケヤキ並木を歩きました。コロナの前は、こんな風にゆとりを持って歩く余裕がなかったけれど、ただ歩くこと、食べること、人と話すことがこんなにもかけがえがなく、幸せなことなんだとあらためて気づき、また手に持つごはんを食べることが楽しみで仕方がない道中でした。

 

バナネイラの焼き菓子にも使われているグルテンフリーミックス粉は、パンケーキにも、スコーンやクッキーにも使える。280g780円(税抜)。パッケージについているQRコードでレシピも見られるので、おうち時間で子どもと一緒につくりたい

 

紅色のビーツ、紫色の大根、黄色い人参、濃いグリーンの菜花、薄いグリーンの葉物、ドライフルーツなど、やわらかさ固さシャッキリネットリ、様々な色と食感を楽しめるバナネイラのごはん。ベジザンギは子どもたちに大好評でパパの分がなくなるといった誤算もありましたが、ヴィーガン料理でリフレッシュして、なんだか心身が整った気がしました。

2.bananeira(ドイスバナネイラ)

住所:横浜市青葉区柿の木台3-20

TEL045-482-7871

URL: http://2bananeira.com/

営業日:月曜日~土曜日:11:0022:00L.O.:21:00、木曜は15:30まで)日曜定休 

新型コロナウィルス感染拡大防止のため短縮営業中。Confortoの情報はお店のInstagramでチェックしてください。

https://www.instagram.com/2bananeira/

 

今回、テイクアウトで使い捨て容器を使わない工夫をしているお店を3店舗紹介しました。新しい時代のテイクアウトを切り拓いている3店舗の料理は、いずれもオーガニックにこだわったり、地産地消に特化するなど、地域で循環していて、身体にもいい巡りを感じられるものです。

私はこれからも、創意工夫のあるテイクアウトを応援していきたいと思っています。

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この記事を書いた人
北原まどか理事長/ローカルメディアデザイン事業部マネージャー/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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