ALL DOGS AND HUMANS WELCOME!人と犬と自然が若草台のカフェでつながる。DOG GOODS& CAFE「SHEi」
東急田園都市線・青葉台駅から寺家町に向かう東急バスに乗りこみ約10分。「若草台」バス停の目の前にあるドッグカフェ「SHEi(シー)」は、「人、動物、自然をつなぐライフスタイルショップ」です。バスの窓越しに眺める店内は、人もワンちゃんもゆったりとくつろいでいて、奥にはドッググッズのスペースも。どんなカフェなのでしょうか?経営する武本ご夫妻にお話を伺いました。

2023年3月に横浜市青葉区若草台の地にオープンしたDOG GOODS&CAFE「SHEi」。私は鴨志田町の森ノオト事務所へ向かうバスで通りかかるたびに、ワンちゃんと人でにぎわう様子が気になっていて、実家に住む愛犬とこんな場所で食事を楽しめたら……と思わず想像を膨らませていました。

 

そんなSHEiさんの「あおばを食べる収穫祭」への初出店が決まり、この度お話を伺う機会に恵まれました。 2023年11月23日当日は、農薬・化学肥料不使用のこだわり野菜のランチプレートが楽しめ、お持ち帰りでのワンちゃん用フードメニューも用意されます。

SHEi店内メニューの発酵ガパオライス(日替わりメニュー)と愛犬用のピザ&ケーキ。ワンちゃん用のメニューもかわいくて本格的だと感心していると、精肉店やレストランがワンちゃん用に作っているものだとか!

取材前、森ノオト編集部メンバーとSHEiさんを訪れた私がまず驚いたのは、メニューの豊富さ!メインの肉料理は唐揚げに西京焼と数種類のメニューが選べ、ドリンクはコーヒー、紅茶、ハーブティー、オリジナルドリンク……迷ってなかなか決められない!

お料理のプレートには、長津田(緑区)と峰沢(保土ヶ谷区)で自然栽培された野菜が散りばめられ、メインはもちろん付け合わせの一つひとつまで、どれを食べてもおいしい……。お話を聞くと、厨房にはお野菜を卸している農家のご夫妻が立たれているそう。

 

周りを見回すと、飼い主さんの足元や膝の上でワンちゃんたちがゆったりと過ごしています。店の奥にはリードや服、おやつなどの洗練されたドッググッズが並び、ワンちゃんのセルフウォッシュスペースや、飼い主・愛犬がいっしょに入れる酸素カプセルまで。

白を基調にした店内はとても爽やか。店内奥のセルフウォッシュスペースは、「光マイクロバブル」というトリミングサロン顔負けの本格的な設備が整えられ、定期的に訪れるお客さまもいるそう(写真提供:SHEi)

お食事や雑貨選び、リラクゼーション……ワンちゃんと飼い主さんは、ライフスタイルのあらゆるものがSHEiで揃います。そして私のようにワンちゃん連れでなくても、とびきりおいしい料理が楽しめるカフェとして利用できる!

“犬”にも“人”にもおいしくうれしい魅力がぎゅぎゅっと詰まったこのカフェは、どんな方がどんな思いでつくっているのでしょうか?

 

 

犬も人も元気になれるような店を、地域でつくる

「SHEiは、お互いのやってきたことの延長」と、SHEiを経営する武本淳さん・瑠美さんご夫妻は話します。

 

妻の瑠美さんは動物病院の看護師から始まり、輸入雑貨の取り扱いや、トリミング、アロマセラピーなど犬にまつわるさまざまな仕事を経験し、「年を重ねても犬にまつわる仕事を続けていきたい」という思いを持っていたそうです。二人目のお子さんの妊娠を機に、「遠くではなく、自分たちの住む地域で仕事をつくろう」と、若草台の地に店舗を構えました。これまで飲食店や商業施設の店舗開発を手掛けてきた夫の淳さんが設計を担当し、気持ちのいい風が抜けるようなドッグカフェ「SHEi」が誕生しました。

淳さん(左)と瑠美さん(右)。SHEiの店舗前にて。妻の瑠美さんは昨年、国家資格である「愛玩動物看護師」を取得されたそう!

「店をつくることを決めて、1年ほどかけて場所を探し、犬も中まで入って楽しめるこの店舗に決めました。コンセプトは『人、動物、自然をつなぐライフスタイルショップ』。人も犬も、ここで暮らしを完結できるような場所に」と話す淳さん。

すると「カフェに来て、犬も人も元気になってほしい」と瑠美さんも続けます。

「ワンちゃんが元気で長生きするために、飼い主さんにも健康でいてほしいです。お店の料理は素材にこだわっていますし、ワンちゃん用のおやつも原材料がはっきりとしていて、人に出せるのと同じくらい安心できるものを選んでいます。ワンちゃんの食物アレルギーを心配される方も多く、じつはうちの犬もアレルギー持ちなんです。だから、なるべくシンプルで信頼できるものを提供しています」。

 

動物病院で、そして生活の中で、ワンちゃんたちを見守ってきたからこそ生まれる瑠美さんの温かな配慮が、人にも犬にも向けられています。

取材当日は大型のワンちゃん4頭と4人の飼い主さまがご来店。席の足元にはリードを留めるフックが点在し、テーブルは犬も人も心地よい距離感で過ごせる配置となっています

 

ご近所に住む飼い主さまと来店したトイプードルのココちゃん。瑠美さん(左)が差し出す試食のフードをうれしそうに食べていました

 

店内のドッググッズスペースには瑠美さんがセレクトしたアイテムが並んでいます。おすすめは「うつくしまエゴマ豚ジャーキー」で、福島県の精肉店が確かな品質のお肉を使って作るワンちゃん用のおやつです。同じ精肉店から“人”用のお肉も卸してもらっていて、お食事でおいしさを実感した上でワンちゃん用のおやつが買える素晴らしさ(写真提供:SHEi)

二組のご夫妻の思いが重なって。自分たちの作った野菜を使って、体が喜ぶ料理を提供したい

「今までにないドッグカフェにしたい」と話す淳さん。そんなSHEiさんの彩りのよいお料理は、さまざまな野菜が使われていて目からおいしく、食べると素材のおいしさがじんわりと体に染み込むような味わいです。自然栽培のお野菜を提供し、調理も担当しているのは、横浜市保土ヶ谷区峰沢で畑を営む佐藤大輝(ひろき)さん、恵麻さんご夫妻。

恵麻さん(左)と大輝さん(右)。畑を耕しながら、料理も手がけるお二人は、SHEiの厨房を担当するまではキッチンカーで、都内のオフィス街を回っていたんだそう

5年前まではそれぞれ建設業と郵便業の世界に身を置いていたお二人。畑を営むきっかけは、夫の大輝さんが知り合いの作った自然栽培野菜のおいしさに感銘を受けたことだったそう。峰沢で農業研修をスタートさせ、2年前に横浜市の認定農業者となりました。

私がいただいたエスニック唐揚げのプレートにも、切り干し大根炒めや人参のラペ、ピーマンの素揚げなど色とりどりの野菜が。妻の恵麻さんは発酵食への関心が高じて発酵食大学を卒業されたんだとか。塩麹やナンプラー麹などさまざまな発酵調味料も、SHEiの料理に生かされています

二組のご夫婦で運営する形も個性的なSHEi。長津田で農業を営む淳さんの幼馴染みを介したつながりだったそうです。「自分たちで育てた野菜と発酵食の力で、食べる人を健康にしたい。そんな今までの私たちの思いと、SHEiのスタイルが合致しました」と大輝さんは話します。

SHEiのメニューはメンバー全員で考案しているのだそうです。2023年5月からディナー営業もスタートしました(提供:SHEi)

犬と人が自然とそばにいられるお店に。地域とつながって、このエリアを盛り上げていきたい

SHEiのこれからについて武本ご夫妻に伺うと、「実は私は昔、犬が苦手だったんです」と意外なエピソードを話してくれた瑠美さん。仕事を通じて犬に触れるうちにその感覚はなくなっていったそうですが、「だから犬を大切に思う気持ちも、苦手に感じる気持ちも両方わかる」と瑠美さんは言います。

「ドッグカフェと言うと、“ワンちゃんだけのため”というイメージがあるかもしれないけど、SHEiは違う形でありたいです。犬を連れている人もそうでない人も楽しめる、犬と人が自然とそばにいられるようなお店にしたいと思っています」。

店名はお店のコンセプトを「SHEi」という一字にしたんだそう!SHE /HEは「ワンちゃん」、iは「私/人」を指しています。このおしゃれな名前は淳さん考案で、ロゴの「i」は人の形を表現しています

二人のお子さんを育てる淳さんと瑠美さんは、地域に根ざす形に働き方を変えて、子どもと関われる時間や親の仕事を見せる機会が生まれたと笑顔で話します。

そしてSHEiで提供している紅茶は保育園の保護者仲間から卸しているそうで、ローカルなつながりが、SHEiのお店づくりにも生かされています。「これからは地域のさまざまな方とつながって、イベントなど面白いことをしていきたいです。ローカルなコミュニティをつくれるお店になって、このエリアを盛り上げていけたら」と淳さんは話してくれました。

 

 

(取材を終えて)

お話を聞き終えてから店舗入り口を見上げると、窓の部分に「ALL DOGS AND HUMANS WELCOME」の文字が書かれていました。この言葉に、SHEiの思いが詰まっているのだなと私は改めて感じます。SHEiはこれからさまざまな“人”も“犬”も巻き込みながら、まちを元気にするプラットホームとして、その活躍の幅を広げていくでしょう。

 

11月23日は、SHEiこだわりのお食事のマルシェ版を食べるチャンス!愛犬と、大切な人と、一緒に足を運んでくださいね。暮らしがより生き生きとするようなパワーが、きっともらえるはずです。

Information

DOG GOODS&CAFÉ「SHEi」

HP:https://shei-yokohama.com/

Instagram:https://www.instagram.com/shei_yokohama/

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この記事を書いた人
佐藤沙織ライター
横浜市泉区生まれ、西区在住。そこに住む人の等身大の言葉でつくられた森ノオトの記事に魅せられてライターへ。身近な人の気持ちや様子をそっと書き残していけたら。読書と犬が好き。趣味のゴルフは毎回大乱闘。
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