一人ひとりに未来のタネがある。森ノオト全スタッフミーティングを行いました。
森ノオトのスタッフは現在20人。活動領域やエリアが広がり、メンバーが増えるに連れ、スタッフが一堂に会して集まり、ミーティングをするのが難しくなってきました。そこで2022年度に始めた「全スタッフミーティング」を今年度も開催。普段の仕事場と業務からちょっと離れて、お互いを知ること、事業を知ること、未来のタネをつくることに取り組みました。
(アイキャッチ画像:小幡崇)

NPOや地域活動団体で、関わるスタッフやボランティアが増えて、事業の幅も広がって、それ自体はいいことなのだけど、顔を見たことのない人が増え、自分の担当外のことを把握しにくくなるなど、組織の成長に伴う成長痛のような課題が出てきます。コロナ禍によってリモートワークが普及し、会議や情報交換をリモートでできるようになってきたこともあり、「同じ空間で、顔を合わせて、雑談する」という機会がなくても、業務領域によっては特に大きな支障なく仕事を進められるようになった背景もあります。

 

森ノオトも、NPOとして順調に成長して、現在では4事業部が自立的に活動しています。森ノオトの職員として働く雇用スタッフが9名、事業やプロジェクトごとの業務委託スタッフが11名、合計20名の結構な大所帯になってきました。

森ノオトの4事業。兼任している人もいるけれど、基本的には事業部ごとに活動をしている

「森ノオト」というローカルメディアでの地域情報の発信と、ライターコミュニティを運営するメディア事業部。

メディア運営や広報のスキルを普遍化して講座展開したり、メディアリテラシー教育の普及や、編集・制作・デザインの外部委託を担当するローカルメディアデザイン事業部。

青葉区ローカルに根ざして自治会・町内会や公園愛護会などのまちづくり支援や、地産地消・マルシェイベントなどを企画・運営して地域自治を後押しするコミュニティデザイン事業部。

めぐる布市の運営を通して手芸素材の循環やつくり手の創造性を高めることに貢献しているファクトリー事業部。

 

スタッフがそれぞれ培ってきた専門的な知識や経験、スキルを持ち寄って、オリジナリティあふれる仕事をしています。

2022年12月9日に大磯町のレンタルスペースで行った全スタッフミーティング。その人らしいキーワードをふせんに書いてギフトする「ハッシュタグわたし」というワークショップで、スタッフ一同大盛り上がり

森ノオトが初めて全スタッフミーティングを行なったのは、2022年度のこと。認定NPO法人アカツキによる「立ち止まり対話するための助成金 AKBN(アケボノ)ファンド」の採択を受け、2022年12月と2023年3月に、それぞれ大磯町と鎌倉市で実施しました。あえていつもの仕事の場から離れて、非日常空間でスタッフ同士が交流するなかで、お互いのことを知り、担当以外の事業を理解し、NPOとして活動する意義についてもそれぞれが持ち帰ることができました。

 

全スタッフミーティングを通して、スタッフがチームとして一体化する実感や、ポジティブな気持ちを持てるようになり、とても意義が大きいと感じました。年に一度でも定例化できたらと、今年度は自主財源で全スタッフミーティングを実施。企画やファシリテーションは事務局長の宇都宮南海子さんが担いました。

一人ひとりの好きな音楽がバックグラウンドに流れて、和やかな雰囲気でスタート。「プレイリストがほしい!」とみんなから要望が上がっていました

2025年1月30日、会場は森ノオトからほど近く、緑区中山にある自然素材でリノベーションされたコワーキング・コミュニティスペース「Co-coya」。地主さんの志によって地域の中にひらかれたコミュニティスペースが点在している「753(ナナゴーサン)ビレッジ」というエリアで、この日はお隣の空き地で発酵食やコーヒーを提供するカフェが開かれていました。

薪ストーブの火を囲み、温かいひだまりに包まれてちょっと汗ばむくらいでした

薪ストーブを中心に、土間と小上がり空間全体を使わせてもらい、最初に行ったのは事業部ごとの「三大ニュース」の発表と、2024年度の今までのところの動きをグラフ化するといったワークショップ。事業部ごとにメンバーが集まり、30分という限られた時間の中で、この1年間のふりかえりをする中で、それぞれに印象深かったことや、その事業に取り組んだ時の気持ちを話し合いました。

ファクトリー事業部のスタッフからは「象の鼻テラスでの布市で300箱以上の段ボールを運ぶのに、地域のタスカルさんに大活躍していただいた、東京映像美術さんにも感謝!」と、地域の力を借りて活動が少しずつラクになっていったことへの感謝が真っ先に述べられました

今年森ノオトライターになったメンバーでバンドを組んで、収穫祭で寄付を呼びかけてくれたことがうれしかった」(メディア事業部)

「自分が発案したオリジナル織り機が形になったり、地域作業所さんとの仕事がスタートしたりと、自分の得意なことや関心のあることに関われてよかった」(ファクトリー事業部)

「収穫祭用のテントが30張あるのに老朽化して、まともに使えるのが4張のみ。メーカーから部品を取り寄せて修理をしたら多くが蘇って、謎のスキルがついた」(コミュニティデザイン事業部)

「この夏にメディアリテラシー新聞を作ることにエネルギーを注いで、終わってすぐに広報支援が始まり、新聞を十分に活用しきれていないことが心残り。これからがんばる!」(ローカルメディアデザイン事業部)

 

など、事業部ごとの仕事内容と何に取り組んできたのかを全体で共有。今回初参加のスタッフは4名いたのですが、「森ノオトの全容の半分くらいをつかめた気がする」との感想が聞かれました。

お昼ごはんはフラットガーデンの餃子弁当と、発酵食カフェたかごころの酵素玄米おにぎり弁当。コーヒーやお茶のポットサービスもありました

午後は「お互いを知る」をテーマに時間が進みました。まずは、それぞれの「似ていると言われたことのある有名人やキャラクター」を投影。有名な芸能人から映画のキャラクター、動物、なぜか「やかん」など……爆笑の渦に巻き込まれて温度感が高まった後は、「お互いの事故紹介」というワークショップに取り組みました。

 

普段接点の少ないメンバー同士、2人1組でペアになり、これまでに経験した事故や事件の経験談を話し合い、それをもとに「相手の事故紹介」を発表するというもの。

子育てのドキドキノオト」で語られた、子どもと多目的トイレに入った時の珍事件や、就職面接の時に会社名を読み間違えた事件、若い頃のお酒の失敗談まで、「その人らしさ」満載のエピソードに、大笑いしたり、ほっこりしたり、意外性に「へえ〜っ」とうなったり。お互いのことを知るきっかけになる、笑いに満ちた時間になりました。

普段一緒にいることのないメンバー同士が隣り合って発表している姿は、なんだかとても新鮮でした

最後は、「森ノオトに500万円の臨時収入が入った、さあ、どうする?」というワークショップ。4事業部からそれぞれメンバーが分かれて、普段一緒に活動することのない人同士で4〜5人のチームをつくります。「それぞれの事業で困っていること」「世の中のこういうところが気になる」「やってみたいこと」の視点から、2事業部以上がからんだ企画を人件費も含めて考えるという、なんだか事業創出の企画会議のようでもあり、ワクワクします。

こうした企画会議に慣れている人も、そうでない人も混ざり合って、率直に考えていることを出し合うことで、「今、彼女はこんなことに困っているんだな」「あの人はこんなことに興味があるんだな」ということがわかります。困りごとを軽くするためのアイデアと、個々人の興味関心を広げる発想を掛け合わせることで、思いがけない解決策が見つかって、それが事業のタネになったり……。いつもと違うメンバーと話し合うことで、「え、そんなふうに広がっていくんだ!」という発見がありました。

「森ノオト不動産」というテーマで、エリアリノベーションを目論む大胆な企画も!

最終的に、4つのグループから4つ以上の事業アイデアが発表され、もしかしたらこの先実現するものがあるかも……と期待感が湧きつつ、「今回はあくまでもワークショップなので、事業化は検討していません」という前提に立ち返り、日々の業務での制約条件を外して自由に発想を広げるおもしろさを体験しました。

「今後のタネがコロコロと転がっていった」

「元々やりたいと思っていたことを口に出してみたら、話が広がっていって、面白かった」

「会場の雰囲気もよくて、心地よい時間を過ごせて、とても楽しかった!」

そんなふうに、最後はみんな、満ち足りた表情で、「またね〜」と、それぞれの家に帰っていきました。

フラットガーデンにお弁当を取りに行ったり、隣の空き地のエアストリームで開催されているカフェにコーヒーをおかわりしに行ったり。753ビレッジの豊かなコミュニティを満喫しました

私自身、こうした「あえて、仕事ではない時間をみんなで共有する」という豊かな時間を過ごすことで、あらためて、森ノオトのスタッフ一人ひとりの持つ個性や人柄が素敵だなと思ったのとともに、みんなでアイデアや力を合わせるからこそ、掛け算のように夢が広がっていくのを感じました。

スタッフそれぞれが「やりたいこと」「得意なこと」を持っていて、それを発揮する場や機会があることで、誰かの役に立ったり、人を幸せにすることができる。そのためには、日常的に夢や希望を口に出したり、それを「いいね!」と受け入れてくれる土壌づくりが大切です。それは一朝一夕にできることではないですが、年に一度でも「そのための時間をつくる」ことで、組織にポジティブな変化をもたらすことができると実感しています。

 

森ノオトの経験をこうしてシェアすることで、少しでも、他のボランタリー団体に生かしていただければとてもうれしいです。

個人的には、会場にCo-coyaを使うことができたのがとてもうれしかったです。森ノオトと親和性が高いコミュニティでありながら、それぞれの独自性、オリジナリティも感じ、豊かな学び合いの時間になりました(写真は夏のCo-coya。自然の力で夏も涼しいのです)

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この記事を書いた人
北原まどか理事長/ローカルメディアデザイン事業部マネージャー/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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