
事の始まりは2023年、静岡県でフォレスター(森林整備や自然観察など、林業や森に関わる人をサポートする仕事)として活動する森ノオト編集部の山田真弓さんの呼びかけでした。「地方で森林に関わる仕事をしている中で、都会に暮らす人にも身近な“木”について伝える企画を考えたい。“まな板”を切り口にしたらどうかな?」という相談でした。
そうして、2023年6月の編集会議で、まな板座談会を行い、その後、編集部のSNSグループでも「わが家のまな板」についてのエピソードを収集しました。

写真左上が山田真弓さん
フォレスター山田さんは天竜ヒノキのまな板のカビが悩み……
私は、森の専門家「フォレスター山田」として、一番身近な木である、まな板について知りたいと思っています。私は、木のまな板をカビさせて、プラスチックに変えたのですが、5〜6年くらい前にまた木に戻りました。黒ずんだり、カビが生えたり、キノコが生えたり、手入れは行き届いていませんが、私のまな板をご紹介します。
こちらは、天竜産のヒノキのまな板で、大きさはタテ20cm、ヨコ45cm 厚さ2.5cm。作ったのは天竜の山奥にある木工所のおじいちゃん。ズボラなのでけっこう黒ずみがありますが、あまり気にせず使っています。このまな板は、いずれ大工の友達にカンナで削ってもらってピカピカにしてもらうつもりです。
こちらは、イチョウのまな板です。最高級のまな板はイチョウだと知り、友人の木工作家さんの作品を買いました。もったいなくて使えず、手作りケーキなどを出すときにお皿のように使っています。使わずにしまったままにしていたら白っぽいカビがついて焦りましたが、洗って拭いたらキレイになりました。買ったのは15年ほどです。(山田真弓)
まどかさんは竹の集成材まな板をガンガン食洗機に!?
北原家のまな板を紹介します。
いろいろ変遷したのですが、現在主に使っているのは、IKEAの竹集成材のミニまな板(主に野菜)+同じくIKEA同サイズのプラスチックまな板(主に肉)で、食洗機でガンガン洗って乾燥させています。竹のまな板は食洗機OKマークはないのですが、自己判断で食洗機にかけています。今のところ特に問題なく使えています。
以前は工務店さんのイベントでヒノキのまな板をつくって、それを使っていましたが、皆さんのお悩みのように、洗った後の置き場、断面のカビ問題などで、うまく使いこなせずに廃棄しました。
唯一残っている大きなまな板がイチョウのもの。これは10年ほど前に山形の初市で購入しました。山形では江戸時代から街道沿いで「市」が開かれており、毎年1月10日の「初市」で、その年に使う木の道具を新たに買い求める風習があったようです。このイチョウのまな板は、うどんづくりやクッキーづくり、1日かけてじっくり料理をする日などに登場します。洗った後の水切りは相変わらず悩ましいんですけどね……。(北原まどか)
あっこさんは小さなまな板をタワシで水洗い
梅原家では15cm×24cmくらいの小さな木のまな板を使ってますが、もはや何の木か、どこで買ったのかすら覚えていない、思いいれのなさ。確か500円くらいの安いものだったような。最近包丁を研いでないせいで傷だらけ、黒ずみもあり表に出していいのか?という見た目ですが、軽くて嵩張らないので便利に使っています。
肉類を切った時には洗剤を使いますが、基本タワシで水洗い。気がむいた時に熱湯消毒したり、稀に日干しして、なんとなくOKということにしています。(梅原昭子)
料理上手の富岡さんは出身地・長野の木曽ヒノキのまな板
私が普段使っているまな板は、42cm×21cmと24cm×15cmの木曽ヒノキのまな板です。どちらも10年以上経っています。
プラスチックまな板は、性に合わないので使っていません。
あとはチーズなど用のカッティングボード、一番小さいのは青森ヒバのものです。
普段の手入れは、水で洗うだけです。肉や魚を切った後は念入りに洗います。
気をつけていることは、パンを切る時以外は、必ず水にぬらしてから使うことと、直射日光に当てない(母の教え)ことです。
本当は、使った後に拭くのが大事ですが、まな板スタンドに立て、水切りしているので、下になるところ(時には上になる)が黒ずんでいます。ちゃんと拭けばいいのでしょうが、すでに黒ずんだものを取る方法を知りたいです。滅菌には、パストリーゼ(消毒剤)を吹きかけています。
梅干しを叩いた後や紅ショウガ、ルバーブを切った後にまな板が赤くなるので「おぉ!」と思います。洗って乾くと消えているので、悩みではないですね。(富岡仁美)
ハマちゃんはアカシアのまな板に一目惚れ
肉とか魚を切るのには、今のところ、プラスチックのまな板を使っています。木のまな板でも衛生的には大丈夫なのかなぁ?むしろ木の方がいいのかなぁ、と思っていましたが、そういえば、きちんと調べたことがないのです。
パンとか野菜とか、汚れがつきにくそうなものは、この写真のYOKOHAMA WOODのアカシアのまな板を使っています。ほとんど汚れないので、水洗いして乾かして、たまに天日干しをしています。このまな板、昔オーガニック系のイベントに行った時に、YOKOHAMA WOODの創業者さんに「ちょっとちょっと、話聞いてってよ」といわれ、その熱弁に心打たれ買ってしまったのです。結局1時間くらい話を聞いてしまいました(笑)。
300年の歴史を持つ小田原漆器箱根細工の伝統工芸技能師が立ち上げたプロジェクト工房で、漆の技術を使って木工品をカビにくくしてあるそうです。環境汚染のない野生の木と漆を使っているということ。一切化学薬品を使わずに1年以上もの月日をかけ丁寧に作りあげていて、たしかに、商品に重厚さが感じられるような気がします。使っていて心地よいです。汚れたら職人さんがカンナで削ってくれるみたいです。(濱田明日美)
邦武さんのまな板は家族の思い出の焦げ目とともに
わが家のまな板はこちらです。
私が子どもの頃にはすでに台所にありました。これ一筋というわけでなく、プラスチックのものなどもありますが、この木のまな板だけがピンチヒッターのような感じでずっと残っています。どういう経緯で入手したのか、両親も覚えていないそうです。亡き祖母も使っていたので、半世紀近く経っているのかも。昔はもう少しごっつい感じだったような気がします。
裏を返すと黒くなっていますが、焦げ跡です。私が幼稚園に通っていた時代に家でお誕生日会を開いた際、今でいうママ友さんたちが集まって料理を作っていたそうなのですが、ガスレンジの点火の仕方がよく分からないママ友さんが、まな板をコンロに乗せたまま点火してしまった形跡だとか。母たちが台所で大騒ぎしていたのを覚えています。後日祖父や父が鉋やヤスリで焦げ跡を削っても消えず、結局焦げた面は使わなくなったような気がします。
まな板を焦がす家庭はあまりないと思いますが、焦げた面も使って差し支えないのかどうか……。
ちなみに、中華料理店の厨房にある丸い木のまな板がカッコイイなあと、いつも思っています。重くて場所を取りそうだし一般家庭の台所では邪魔になりそうですが、ちょっと憧れています。(小池邦武)
ゆかりさんは、桐、竹、オリーブのまな板
私は桐のまな板、青森ひばのまな板、オリーブのまな板を使っています。
桐屋田中さんのものですが、桐はとても軽いという魅力があり購入しました。包丁に優しいほどに木が柔らかく、どうしても傷が付きやすいのが悩みです。
オリーブは肌がとてもきれいだったので旅行のお土産として買いました。が、意外と小さくてちょっとしたお皿代わりにもなっています。
昨年、青森ひばのまな板を新たに迎えました。 丸型の一部が直線になっているため、乾かすときに自立します。おろし立てからしばらくの間はひばの良い香りであふれ、癒やされていました。 桐ほど傷もつきにくく、今ではレギュラーとして活躍しています。
かつてはヒノキの自立式や竹の合板タイプのまな板も使いましたが、今は実家で活躍しています。生モノを切る時はプラスチックを、チーズを切るときはガラスのまな板(いただいたもの)を使っています。
お手入れについては、木のまな板は棕櫚(シュロ)だわしで縦横斜めと洗います。陰干しするとよいのでしょうが、ほとんど立てかけて自然乾燥。時々ベランダで干します。それ以外の素材は生モノ用スポンジで洗い、熱湯消毒します。
木は大切にしたら長く使えるし、軽いのがとても魅力ですね。でもカビや傷、凹みが出てくるので切ったのに切れてない!という悩みがあります。(柴山有花理)
ゆうきさんは軽めのまな板を使い回す
わが家のまな板はノートサイズです。旅先の道の駅とかで購入するため、購入サイクルはその時々です。厚さは薄めです、なので軽めです!手入れは水で流して横に置くだけです。
ちなみに、今使っているのは、「ケヤキ」です。サイズはB5ノートより小さく、薄い!
他にも、行った先々の道の駅で、熊野杉、木曽ヒノキのまな板も購入しました!木の質などさまざまなことをこの座談会を通して共有できたことで、今後は木の特色の違いなども楽しみながら使っていきたいなと思いました!!
私は、まな板は、野菜果物でしか使っていないかもです。肉魚は、ハサミです。それぞれに、まな板一つとっても、色々な使い方があって楽しいなあと、皆さんのお話を聞いていて思っていました。材質によっては、香りも楽しめそうですね!(田中友貴)
津矢子さんは合わせ技でいちょうのまな板を長年愛用
大きなものは結婚する時に購入したもので、23年ほど使っています。確か、いちょうだったような……。記憶が曖昧でよくわかりませんが、木のまな板は音がやさしいし、あたりもよく使い続けています。さっと濡らして拭いて使い、さっと洗って窓のそばに立てかけるだけです。お野菜を茹で、ざるにあげる時、一緒に熱湯消毒がわりにするくらいですが、特に困ったことはないです。黒ずむとサンダーでやすりをかけるといいと聞きましたが、いつかやろうと思いつつ、やったことがないままです。
中くらいの細いものは高知の朝市で買いました。軽くて小さいので、お弁当作りに重宝しています。
あと、おせちのかまぼこ板を一つは残しておいて、ボロくなるまでちょこちょこ使います。これが意外と便利です。そうめんの木箱のふたなどもおすすめです。
それから、お肉などを切る時は、牛乳パックなどの上で切ってまな板にはふれないようにしています。お肉に限らず、最近はできるだけ切らずに調理することもいいな、と思っています。まな板なしで火にかけながらお鍋の上で野菜などを切っていき、ポンポン放りこみます。まな板を使わない工夫も楽しく、楽ちん、時短で気に入ってます。(新楽津矢子)
啓子さんもまな板使わない派
私も、お肉は、そのまま鍋に入れて、煮えてきたら、鍋の中で、ハサミで小さく切ったりしています。例えば、鶏のササミ、豚肉のスライスのほか、野菜でもキャベツや葉ものなど手でちぎれるものは、手でちぎって使う時もあります。そうすると、味もしみやすくなるような気がします。お豆腐は、パックの中に入れたまま切るとまな板を使わなくてすみます。長ネギやわけぎも必要な分だけハサミで切ることもあります。大根や長芋だけでなく、きゅうりやにんじんもボウルの上ですりおろしてドレッシングにして、他の野菜と合わせてサラダにしたりします。(青木啓子)
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森ノオトライターのまな板談義、いかがでしたか?
木のまな板を愛用しているものの、メンテナンス法、カビの対処法に悩みを抱えているのは共通のようです。木のまな板を使うのは主に野菜を切り刻む時で、肉や魚などの動物性油脂のある食材にはプラスチックのまな板、あるいは牛乳パックの裏を使う工夫をしている人も。使用後はさっと水洗いをして乾かすのが共通ルーティンでした。
ぜひ、読者の皆さんも、お友達と「わが家のまな板」についてお話ししてみてはいかがでしょうか。食卓から地域の食文化が見える、そんな楽しいまな板談義でした。

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