デザインの力で地球にも人にもやさしい製品を。FLORAÉ田中美里さん
手触りの良いコットン100%生地に、かわいらしい植物柄がプリントされた色とりどりの衣服たち。インドの職人の手によって丁寧に製作され、海を渡って日本にやってきました。アパレルブランド「FLORAÉ(フロラエ)」を展開する田中美里さんに話を伺いました。

「FLORAÉ」は2026年5月に立ち上がったばかりのアパレルブランドです。店主の田中美里さんは、インドから届いたばかりのダンボールを開いて、「良かった!とってもかわいいです」と愛おしそうに商品を手に取ります。

 

FLORAÉの前身となるのは、田中さんがこれまで活動してきたフェアトレード商品を扱うショップ「糸の森プロジェクト」です。

これまでは、インドやバングラデシュ、ラオスなどアジアを中心とした国々のフェアトレードの服、食器、またチョコレートやコーヒーなどの食品をネットショップで販売。森ノオトが主催するマルシェ「いいかも市」や「あおばを食べる収穫祭」などのマルシェにも参加してきました。

 

どのような思いでフェアトレードのお店を始め、そしてアパレルブラントの展開に至ったのかを知りたく、店主の田中さんにお話を聞きました。

 

「地球にも、人にも優しい製品を」をテーマに、2024年に糸の森プロジェクトを一人で立ち上げた田中さん。自分の思いを、じっくり言葉を選びながら話す姿と、やわらかな笑顔が印象的です。

インドから届いたばかりの商品を紹介してくれる田中美里さん。森ノオトのイベントへの来場がきっかけで、マルシェへの出店がはじまりました

デザインの力で、インドの手仕事を届けたい

田中さんの本業はフリーのデザイナーです。

「小さい頃にデパートの包装紙のデザインを作る人になりたいと思ったのが始まりでした」と田中さんは振り返ります。

 

出身の北海道札幌市の専門学校でデザインを学んでからは広告代理店で主に商業デザインを仕事にしてきました。

結婚を機に横浜市青葉区に暮らすようになり、現在はフリーのデザイナーとして働く傍ら、「FLORAÉ」を動かしています。

そんな田中さんは、2024年にベトナム旅行に行ったことがきっかけで、フェアトレードに関心を持つようになりました。

 

「ベトナムはスタディツアーとして訪れ、ベトナムの社会情勢や歴史を学ぶ機会があって、戦争博物館などにも足を運びました。現地の商業施設で買い物をした時、日本企業が販売するベトナム製の商品が、日本の販売価格よりも少し高めに売られていることにモヤッとしたんです。当時、ベトナムの物価は日本と比べて3分の1くらい安いはずなのにどうしてだろう。あれっ?って。その疑問の答えをどんどん調べていくうちに、世界の社会問題や労働者に適正な価格を支払う取引であるフェアトレードに興味を持ち、自分に何かできないかと思いました」

 

思いに火がついた田中さんはその後、フェアトレードの勉強を続けながら急ピッチで行動し、ベトナム訪問からわずか3カ月後の2024年9月に、フェアトレード商品を輸入、販売する「糸の森プロジェクト」を立ち上げました。

 

「フェアトレードという言葉自体は前から知っていましたが、まさか自分自身が主体となって活動することになるとは思ってもいませんでした。昔からモヤモヤしたことをうやむやにしていられない性質なので、やってみたいという一心でした」と振り返る田中さん。

 

特に“繊維”を使った商品を販売したいという思いから、店名には「糸の森プロジェクト」と名前をつけ、自分自身でロゴからホームページやパンフレットまで制作しました。

 

田中さんは、仕入れた商品のほか、ご友人のイラストレーターのイラストを、インドの職業訓練校で作られたトートバッグにプリントしたオリジナル商品も制作したり、また、インドの布を使い、田中さんご自身で縫製した巾着バッグなど、商品開発にもチャレンジしてきました。

 

お店を立ち上げてから、突っ走ってきた田中さんですが、この半年は一度立ち止まって、改めて「糸の森プロジェクト」と向き合ってきたそうです。

 

「円安で輸入品が高くなっている今、日本は他の国を『支援する』立ち位置なのか?ということを考えた時にフェアトレードという言葉だけで商品を販売していくことに違和感を感じるようになってきました」と田中さん。

 

そんなモヤモヤとした思いを抱えていた頃、SNSを通じてインドのとある工場から連絡がきました。その工場では500種類以上の布のデザインを取り扱っており、縫製まで全て行えるため、オリジナル商品を作らないかと提案を受けます。

 

工場の制作の様子の写真を送ってもらったり、ビデオ通話でやりとりを重ねていくうちに、環境負荷の低い素材の選定や労働環境の改善に取り組む姿勢に、ご自身の思いと通ずるものを感じ、ぜひ一緒に仕事をしてみたいという気持ちになったと言います。

 

そうして生まれたのがインドのブロックプリント生地で仕立てた洋服ブランド「FLORAÉ (フロラエ)」です。

 

インドとオンラインで通話をしながら、生地を選び、デザインを相談しながら決めていきます。肌触りの良いコットンに、色鮮やかな柄、機械には出せない少しずつ生まれるにじみによる手刷りの味わい。そんな生地で作られる、ワンピースやオールインワンはインドの工場で一枚一枚、丁寧に作られて海を渡ってきました。

 

春物コレクションは、「かわいらしくて、甘い感じ」に。田中さんの好きな映画『グランド・ブダペスト・ホテル』の世界観をイメージして、パンフレットも制作しました。「良い意味で“インドっぽくないよね”と言われるので、着る人をあまり限定せずに、商品そのもののかわいさを見てもらえているのかなと思います」と田中さん。これから、「FLORAÉ (フロラエ)」を丁寧に育てていきたいと思っているそうです。現在は夏秋コレクションを準備中です。

田中さん制作のパンフレットは、モデル撮影の商品紹介で世界観が伝わってきます

ご自身のオリジナルブランドの誕生は、田中さんのデザインする力を強みに、「地球にも、人にも優しい製品」の発信の大きな一歩となりました。

 

自分の中にある疑問や葛藤に蓋をせず、自分の力で形にしていく田中さん。紆余曲折、時に立ち止まりながらも、自分らしいペースで進んでいく姿をこれからも応援していきたいと思います。

Information

FLORAÉ

POP UP STORE

期間:2026年10月10日(土)〜10月12日(月・祝)

会場:U-STUDIO神崎(東京都渋谷区神宮前4-32-7)

アクセス:明治神宮前駅から徒歩1分

 

糸の森プロジェクト公式サイト

https://itonomori.official.ec/

 

F L O R A É(フロラエ)

Instagram: https://www.instagram.com/florae_jp/

Avatar photo
この記事を書いた人
宇都宮南海子事務局長/ライター
元地域新聞記者。エコツーリズムの先進地域である沖縄本島のやんばるエリア出身で、総勢14人の大家族の中で育つ。田園風景が残る横浜市青葉区寺家町へ都会移住し、森ノオトの事務局スタッフとして主に編集部と子育て事業を担当。ワークショップデザイナー、2児の母。
未来をはぐくむ人の
生活マガジン
「森ノオト」

月額500円の寄付で、
あなたのローカルライフが豊かになる

森のなかま募集中!

寄付についてもっと知る

カテゴリー

森ノオトのつくり方

森ノオトは寄付で運営する
メディアを目指しています。
発信を続けていくために、
応援よろしくお願いします。

もっと詳しく