(この記事は、消費者力アップ県民提案事業の委託事業の一環でお届けしています)
習うより慣れろとは、よくいったもので、今では、エコストーブで煮炊きする指導をしたり、火起こしの技術を広めようとしていたりもする。数年前には想像もしなかった、おかしな人生を送っています。
エコストーブをご存知のない方は、こちらの記事を参照してくださいね。
エコストーブづくりのワークショップ第一弾はこちら。
エコストーブは、ペール缶やドラム缶を使ってつくるロケットストーブを改良した、薪で煮炊きができる調理器です。暖をとることもできますが、室内に置いていわゆるストーブとして使うにはあまり向いていません。燃焼効率がとても良いので、断熱されていない家で薪ストーブをガンガン焚いたりだとか、ごく一般的な焚き火をするよりは、環境にかかる負荷が少ないと考えています。ちゃんと点火できれば煙がほとんど出ません。
エコストーブをつくってみたい、使ってみたいという声はエネルギーの講座を通しても結構ありました。しかも女性の方が興味を持つのが面白いところです。雑木林の中のようなところに住んでいて、影ができるので太陽光パネルをつけることはできないから、エコストーブはとても興味がありますと、目をキラキラさせて質問してきた年配の女性もいて、その姿が印象に残っています。
実際につくったり、使ってみると、男性の方がはまってしまう場合も多く、家族や仲間で楽しめるのも魅力です。とはいえ、ソーラークッカーと同様、アウトドア用品として販売されているコンロやバーベキュー道具に比べれば大きくて重いので、暮らしに取り入れることを諦める人もいます。一方では、都内のマンションのベランダでエコストーブを悠々と使っている人もいて、これもやはり暮らしの前提をどう設定するかで変わってくるのでしょう。
今は、野外で火を焚くことが禁止されているので、どうしてもレジャーイベントになってしまいがちな火遊び。暮らしの中で生きるために火を使うという文化を、少しでも残しておきたいという思いが私にはあります。その方が楽しいと思うからです。私自身、3年経って、ようやくベランダでエコストーブに挑戦しました。これから、その頻度を上げようと思っているところです。
例えば、割り箸を使った時、一回限りで捨てずに繰り返し洗って使って最後は燃料にする、燃えた後の炭は畑に撒く、という小さな循環ができた時に、私は「快」を感じます。庭や道端、公園を歩くと、焚き付け用に使える細い小枝はたくさん見つかります。薪は、頼めばもらえる環境が整ってきています。小さな「快」を積み重ねていると次の課題が見えてくる。やりたいことや、できることが目の前に広がっていく状態は、いい循環が起こっている証拠で、持続可能な暮らしってこういうことだよなと安心する自分がいます。火の怖さや危険を必要以上に恐れることがなくなったのも「快」。気に入った鉈(ナタ)が見つかっていないのは「課題」です。
火鉢とか、七輪を使うには炭をおこす必要があるけれど、エコストーブは、乾燥さえしていれば、徒歩圏内や知人とのコミュニケーションから得られる街中の資源をそのまま使えるのが便利です。現に、森ノオトの事務所、森ノオウチの裏には、たまプラ一座からもらった竹が、まだたくさん保管されています。月に一回エコストーブを使うくらいでは、資源の活用にもならなくて、竹の整備と供給量に対して、薪を使う量が少なすぎる、需要が追いつかないのです。ちなみに、竹はよく燃えるので、火の勢いが弱い時に投入すると火が安定してきます。
電気やガスの良さを知り、その恩恵に浸りながらも、非電化、非ガスの暮らしをちょっとずつ試していけるなんて、とても良い時代です。大きなエネルギーのシステムを変えることができなくても、個人の静かなエネルギー革命はいつからでも始められます。そのための資源は「いつもの生活圏内」にきっと眠っています。自分だけでは無理なら仲間で、地域で、それが無理ならまた自分一人に還って。行ったり来たりしながら、理想の暮らしを実現していくプロセスが、大事なのだと思います。個人の暮らしの充実の次には、地域でもう少し大きな熱エネルギーのプロジェクトに挑戦したいです。その時の成功の尺度は、一時の経済性ではなく、持続可能性であるように。
……夜話(やわ)とは、
(1)夜間にする談話。また、それを書き記した書物。
(2)気軽に聞ける話、また、そのような内容の本。
(3)禅宗で、夜に修行場の訓話をすること。
エコストーブde羽釜ごはんプロジェクト
https://www.facebook.com/ecostove.project/
早野聖地公園里山ボランティア
https://morinooto.jp/2015/03/30/hayanosumiyaki/
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