お尻のポケットに実際に入れてくれました。スマートです
7月1日の発売前から噂に聞いていたアオバッグ、ちょっと欲しいな、と思いましたが既に私は手持ちのエコバッグを愛用しています。もう一つ購入するのはエコじゃない……と思っていました。それでも金子さんにお話を伺いたいと思ったのはこんな理由からです。
1つ目は、男性中心の企画であったこと。2つ目は青葉区の商店主有志が地域を超えて協力して作り上げたこと、3つ目は「青葉区応援」エコバッグとうたっているということです。
塚原:2019年に盛り上がったラグビーワールドカップはまだ記憶に新しいことと思います。アオバッグの実行委員会メンバーは、昨年のラグビーW杯日本開催をきっかけに誕生した「AOBA BLUE LEAVES」のメンバーでもあります。実際にラグビーはせずとも、息の合った迫力のあるハカといえば、思い出す方もいらっしゃるかもしれませんね(詳細はこちらの記事を)。金子さんも含めて、今回の有志の皆さんはこの時の仲間たちですよね。
金子:そうなんです。コロナの影響を受け、青葉区内では地元の飲食店を応援するために「テイクアウト青葉」という企画がすぐ立ち上がりましたよね。その後、先に代金を支払って飲食店を応援する「サキチケ」も続いて。でも、小売店を応援する企画は何にもなくて、飲食店以外のお店にも何かできないかな?って思ったんです。
青葉台の奥山さん(ベーカリーカフェ・コペ)、桜台・田原さん(エスニカ)、藤が丘の外山さん(トヤマ時計眼鏡店)、市が尾の佐藤さん(眠りのお部屋)、たまプラーザ駅前通りの小松さん(昭和薬局)、あざみ野の黒沼さん(そばくろ)と藤崎さんの8人で、4月中旬にリモートを使って話したのが最初です。結果的に何をやるかは、奥山さんと藤崎さん、金子の3人に一任されたんです。
マスクの案も出たけど、今更マスクじゃないよな、って。ハカの時みたいにTシャツ……。でもTシャツは大人から子どもまでのサイズ展開があるから難しくてね。で、この3人で5月後半にコペの店内のエコバックを見て「これがいいじゃん!」って(笑)。
塚原:そんな簡単に!決めちゃったんですか?(笑)
金子:うん。
塚原:地域を超えたメンバーの結束力でアオバッグプロジェクトも進んでいったのですね。地区をまたいでメンバーが結束しているのはなぜですか?
金子:3.11(2011年の東日本大震災)の時、何かしなくっちゃって思ったんだよ。自分のことだけではなくみんなが周りを見るようになっていったよね。それから商店街の若返りの時期にタイミングがあったんだよね。俺は商店街関係ないけど。それと森ノオトさんの存在が横のつながりをうんだんだよね。そして、女子サッカーの日体大フィールズの応援から始まり、昨年AOBA BLUE LEAVESを結成してみんなでハカをやって、今回のアオバッグの企画につながっていったんです。
塚原:まさにONE TEAMですね。このアオバッグ、最初に見た時に、色は「アオバッグ」だから青がいいって思ったんですが(笑)。大きさはちょっと小さいと思いました。主婦の一度の買い物って意外と多いですし、大は小を兼ねる、みたいなところがあって。だから今回のターゲットは男性なのかな?とも思いました。
金子:結局、5月後半のスタートで、デザインは藤崎さんの紹介で、あざみ野在住の女性デザイナーにお任せしたんです。最初はコペにあったキャンパス生地の素材をイメージしていたんですよ。でも、世の中には女性目線のエコバッグがほとんどだし、シンプルで汚れにくく、おじさんが持てるのがいいよねって!何せ、買い物もろくにしないようなおじさん3人で話してるから。ズボンのお尻のポケットに入るくらいの大きさだと持ちやすいなと。本当はもっと薄いのがよかったんだけど、7月1日に間に合わせないといけないから、そんなこと言っている暇はなくて。
塚原:ところで金子さんは今までエコバッグは使ってたんですか?
金子:いや。使ってないよ。
塚原:ファーストエコバッグ!いいですね。
金子:今までお金を払っていないところにお金を払うってなんか嫌だよね。ただ、有料化と言っても、金額が中途半端で、いっそのことレジ袋に1,000円とか取ればいいのにと思うよ。
塚原:なるほど。それからスタートしてすぐに、大反響でニュースや新聞でも取り上げれられましたよね。
金子:神奈川新聞が販売開始前日の6月30日に取り上げてくれて、7月1日にテレビでも取り上げられて。7月1日からのレジ袋有料化のタイミングに、エコバッグのネタとしてぴったりだったんだよね。なんとか6月30日に納品されて、その日のうちに10カ所を配り歩きました。本当ギリギリ(笑)。500枚を製作して、ほとんど7月の最初の1週間で売れちゃって、今は販売店にあるだけです。青葉区の駅名が入っていることで、地元感も出たのだと思います。九州や長野など遠方からも注文が来たんですよ。
塚原:すごいですね。アオバッグは「青葉区応援」とうたっていますが、意図を聞かせてください。
金子:最初にお話したように、テイクアウト青葉やサキチケのような飲食店の応援の企画はすぐに2つ立ち上がったけど、小売店を応援する動きがなくて。だから、お店で販売できるものを考えました。原価で仕入れてもらって販売して手数料をお店の儲けにしたくってね。ほんの少しにしかならないけど、「何かできたら」って。これって、「きっかけづくり」かな。一人では大きなことはできないけど、少しずつ誰かが考えて、気づくことをする。環境問題もそうだよね。
自分は商人の子どもとして青葉区に産まれて、東急田園都市線の沿線の街が開発されるのを見てきて。東急田園都市線で渋谷まで30分だから人気があるだけじゃなくて、実際に住んでみたら、あたたかい街、楽しい街って思ってもらえるといいでしょう。自分の子どもたちも将来青葉区に住みたい、って思ってくれたら嬉しいよね。
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取材をしていて、実際にエコバッグを手にしていたら、だんだん愛着が沸いていました。
取材後、ウチルカの店内で私も一つ購入してみました。購入時に、どんな方が買っていくのかお店の方に尋ねたところ、「女性も多いですが、色やコンパクトに収まるところから、『ご主人に』と言う方もいらっしゃいましたよ」。
せっかくなので実行委員のお2人にもコメントをいただきました。
奥山誠さん(ベーカリーカフェコペ店主):「お買い上げされた方々は様々でした。デザイン(形・色・大きさ)に納得されて買っていかれる方はもちろんですが、メディアを見てコンセプトに賛同され購入された方も多かったです。コペではあっという間に売り切れてしまいましたよ!」
藤崎浩太郎さん(市議会議員):「それはもちろん最高に使い勝手がいいです。やっぱり畳んだ時コンパクトなので持ち歩きやすいのがいいです。あと黒いので、それとなく使えるというのもいいですね。狙い通りです」
と、さすがまとめ役!
<取材を終えて>
青葉区は新興住宅地としてとても人気があります。イメージだけではなく、民間企業の調査「本当に住みやすい街大賞2020」でたまプラーザが3位にランクインしたことからも、実際に住んでいる人が住みやすさを感じているのではないでしょうか。私も青葉区に越してきて20年になります。最初は知り合いが一人もいませんでした。少しずつ輪が広がって愛着が湧きはじめ、今では大好きな街になっています。金子さんたちのように地元を大切に思っている人が横につながっていくことが、素敵な街を作り上げているのだと思いました。
奥山さんと藤崎さんのお話を聞いて、「実際に住んでみたらあたたかい街、楽しい街っていいでしょう。活動しててよかったって思う」という金子さんの言葉が頭に浮かびました。
「何かしなくっちゃ、自分のことだけではなく。とはいえ何ができるのかな?」と3.11後を振り返る金子さんの思いを聞きながら、商店街をまたいでの取り組みの原点が見えたように思いました。実行委員のメンバーのみなさんの活動を見ていると、「みんなここが好きなんだ」ということを感じます。そしてコロナ以前からも、今のコロナ禍でも、変わらず「できること」を模索しているのです。
コロナ禍の中、商店会も飲食業も小売業もみんな力を合わせる。
「ONE TEAM」でつながる活動をこれからも応援していきたいと思いました。
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