森ノオトで新人リポーターとして活動を始めたのが4月。そして、『たまプラーザの100人 -たまプラーザの人がたまプラーザの本を作っちゃいました-』に参加することになったのが5月。右も左もわからないまま、4月30日におこなわれた第2回目のワークショップに参加し、そこで、現在の編集チームスタッフである島原愛子さんとともに、このプロジェクトの発起人でもある「たまロコ」の遠藤聖子さん、そして、キタハラマドカ編集長との計4人で編集チームとして動き始めました。
しかし、編集チームの一員となったものの、編集はまったく未知の分野でもあり、果たして私にできることはあるのだろうか? という気持ちもありました。そんな疑問を抱きながらも、打ち合わせを重ねるごとに、このプロジェクトの持つ意義やそれぞれの想いを知ることとなり、少しずつ自分の中でも本づくりに対する気持ちが変化していくのを感じていました。
今回の本づくりでは、取材記者26名、取材対象者約100名が携わっています。6月から7月にかけては、私は取材記者として、4名の方の取材・執筆に専念しました。日頃、接することができないような料理家の方や、憧れのパン屋さんなどに会える喜びもありましたが、今回は“まちづくり”の一環としての『本』の記者として伺うこと、そして印刷物として残ること(写真の技術的なことについても)にとても緊張していたことを今でもはっきりと覚えています。
一方で、編集チームとしては、編集長が続々と集まる原稿全てに目を通し、校正を経たものが記者に戻され、先方への確認をし、再度提出をしていただくという作業が進んでいきました。その間に、デザイナーである青木真紀さんが加わって着々とデザインが仕上がっていき、7月中にはほぼ初校(初めてのレイアウト校正)の段階まで進み、ここまで来ると、ようやく本らしい形となり、“本”をつくっているという実感も湧いてきました。また編集者の特権(?!)でほぼ全てのゲラを読むことができ、改めてこのまちには魅力的な人、まちづくりへの関心が高い人たちが多くいることに驚きました。
初校まで来ると、後は時間との闘いです。8月半ばに控えていた“編集長出産”という一大事までに、なんとか初校→再校まで進み、しっかりと記者の方にも確認していただかなくてはなりません。この作業が思った以上に大変でした。何しろ、記者26名の方にそれぞれゲラを送り、確認後に戻していただき、修正を加えていく……という作業の繰り返し。取材記者も掲載者の方も、より良いものにしていきたいという願いから、何度もメールやFAXでのやり取りがおこなわれました。こちらもその想いに応えるべく、また期日も迫ってきていることもあり、パソコンとの睨めっこ状態が続きました。
この時には、さすがに家族から冷ややかな視線を浴びせられたこともありました(汗)。「ママは一体、何をやっているの?」「私よりパソコンの方が好きなの?!」などなど。しかし、この時は精神的にもあまり余裕がなかったため、「後でね!」と素っ気なく応えてしまったことに大反省しております……。
そして、なんとか再校まで進んだ矢先に、編集長の緊急入院・出産! 突然の入院に編集チーム全員が驚きと不安にも駆られましたが、何とかなるものですね、何とかなりました。それにしても、赤ちゃんのもつ力・存在には驚きます。紆余曲折いろいろな事があった妊娠期間にも関わらず、ママとともに歩み、結果的には自分の意思でこの世に生まれてきました(実はハイリスク妊娠で医療介入による出産直前だったのです)。また、この出来事は自宅、仕事場、病院が距離的にも近いからこそ、子どもも仕事も諦めることなく成し得ることができたのではないかと感じました。今回の本づくりの意義のひとつでもある「愛着のあるまちで“暮らす”と“はたらく”がつながる」ことにより、大きな喜びが舞い降りてきたように思います。
その後は、念校へと進み、9月半ばには無事に入稿へと至りました。
この本づくりは、単にたまプラーザという街を紹介するものではありません。そこには、“本”という形に残るメディアを通じて、
「たまプラーザを代表するような郊外のまちづくりに生かすモデルとなれたら」
「そして、愛着のある地域で暮ら人が、そのまちではたらくことに少しでもつながれば」
との想いから誕生しています。
この想いに共感する者が集まり、本づくりのさらにその先へとイメージを膨らませながら、一丸となって携わってきました。編集チームに限ったことではありませんが、特に身近にいたチームメンバーのことを考えると、私以上に仕事や家族との時間を割いて、この本づくりに情熱を注いできたと思います。それぞれが自分にできることを進めながら、オンライン上で常に意思疎通し、時に集まり、話し合いながら動く。当たり前のようですが、このことがスムーズに進んだのは素晴らしいチームであったからであり、チームの一員としてこの本づくりに関わることができ、数カ月でも没頭できたことは私の生活の上でも貴重な経験となりました。
最後に、近頃は子どもにこのようなことを話しています。
「ママは、単にボランティアでこの本づくりに参加しているんじゃないよ。子育ても楽しみたいし、でも、はたらくこと(社会参加の意味も含めて)もしたい。この二つを同時に、肩の力をぬきながらしていくためにもこの“本づくり”はすごく大切なの。大変だけど、楽しいんだよね。だから応援よろしくね!」
「ふ〜ん。大変だけど楽しいんだ〜」「本にママも載るの?? すご〜い!」「じゃ、私はチラシつくるね!」
果たして、子どもがこの話を理解しているかどうかは分かりませんが、“本”という形に残るもので、今のこの気持ちを今後も伝えていけることがとてもうれしい。
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