花と緑で地域をゆるやかにつなぐ  初めてのマッチング式フラワーショー!に挑戦しました。
青葉区らしい花と緑の風土づくりってなんだろう? そんな問いを形にするために、フラワーダイアログのプログラムの一環で企画した、あおばフラワーショー! 二重三重の「対話の種」を仕込んだ企画の表裏をレポートします。

森ノオトと青葉区役所との協働事業、「フラワーダイアログあおば〜花と緑の風土づくり〜」2019年10月19日(土)には、青葉公会堂での講演会「花端会議をはじめよう!」を開催しました。ゲストの塚本こなみさんのお話は、こちらのレポートにもあるように、とても素晴らしいものですが、ただ聞くだけで終わってしまっては、ダイアログ=対話の要素がちょっと足りません。その場から様々な「花端会議」がはじまるきっかけとなるように、講演会と合わせて企画したのが、あおばフラワーショー!です。

 

いわゆる通常のフラワーショーでは、展示会場での美しい草花の姿が最高のものであり、参加者は、その作品に心を動かされます。でも、展示された草花や装飾は、その場限りでバラされてしまう儚いもの。「植物の命」を考えた時には、ちょっともったいないですよね。

そこで、会場に展示された後の草花を、区内の学校や病院など、あちこちのマッチング先に「ギフト」として提供し、その代わりに、植え替え作業や、その後の手入れをマッチング先の方々にお願いする、という企画を考えました。イベントの後の日常の活動こそを大事にしようというメッセージを込めたかったからです。

さらに、フラワーショー当日は、青葉区制25周年の節目を、青葉公会堂のロビーを花でいっぱいにしてお祝いする意味も込めていました。なかなか欲張りな企画です。

 

 

当日の配布資料に入れ込んだマッチング先一覧

 

今回は、園芸店や花農家、造園事業者など、区内の花緑に関わる9事業者に関わってもらいました。事業者には、会場に1m×1m以内におさまる花壇をつくってもらいます。加えて、事業者が直接マッチング先とやりとりして、イベント後の植え替えの段取りを決めてもらうところまでをお願いしました。マッチング先には、これまでの取材等でつながった、公園愛護会や、花壇ボランティアなど、既に活動母体があるところ、また、これから花の活動をしたいと思っている人がいるところを選び、声がけしていきました。フラワーダイアログ事務局の森ノオトスタッフが、双方の関係づくりのサポートをします。

 

しかし、やってみると、マッチングをうまく成立させるのはなかなか難しい! 想定していたより初動が遅くなったこともあり、期限が迫る中で、あれこれツテを辿って、飛び込み営業でドキドキしながら各所を訪ねたことが、もはや懐かしいほどです。

 

そんな私たちの企画に、戸惑いながらも快く応じてくださった9組の事業者・マッチング先のおかげで、ショーというには小規模ながら、あたたかな想いが行き交う、素敵な空間を創り出すことができました。

 

どんな花壇がどこへマッチングされたのか、一つずつ紹介していきましょう。

 

①有限会社シモヤマランドスケープ軽井沢園(しらとり台53-5エントピア軽井沢101 ) から 江田記念病院ドリームガーデン(あざみ野南1ー1 )へ

花壇タイトル:「花も団子も」
解説:「下段は食べられる色鮮やかなビオラとストック、四隅にはキャベツを連想させるミニハボタンと四季咲きのストロベリー。2段目は柑橘系のキンカンを中心に、食せるナデシコを配し、全体的に食欲をそそる、花と団子が共存した大地の恵みが実感できる花壇です。育てることの喜び、農の素晴らしさを知り、癒しの効果が得られると思います」

 

熱心な地域活動でも知られるシモヤマランドスケープ。森ノオトで以前紹介した、不登校や学習障害で悩む子どもたちの居場所「みどりの学校ひまわり」とも関わりがあります。優しい笑顔が魅力の、代表の下山和正さんのインタビューを公開予定なので詳しくはそちらをお楽しみに。(追記:その後、2020年4月に記事を公開しました!)

 

江田記念病院は、精神科のデイケアに力を入れています。院内にある中庭を活用し、ゆくゆくはケアの一環として、利用者さんとともに庭づくりができたらと考えていると聞きました。植え替えは、ショーの一週間後に行われ、ほぼ展示された形のまま再現されました。植え替え作業に立ち会った花壇担当のスタッフの方は、「今まで見よう見まねでやってきたけど、直接プロの方が作業する様子を見られたのは初めてで勉強になった」と喜んでくださいました。

 

 

②たかはし園芸(つつじが丘7-9) から ナザレ幼稚園(鴨志田町1264)へ

花壇タイトル:「秋の山野草の寄せ植え」
解説:「店主が直接説明いたします」と、本当に、店主の高橋佳晴さん自らが会場で説明。背の高い秋明菊と合わせて、大文字草、ホトトギス、紫式部など山野草が配置されています。高橋さんは、当日登壇者として、ステージの上からも場を盛り上げてくれました

 

ナザレ幼稚園は、自然豊かな寺家ふるさと村のからんこ山を開放していることで、森ノオト読者やライターのファンも多い幼稚園です。たかはし園芸さんはマッチング先が幼稚園だからと、展示した大人っぽい花壇を移動するのではなく、もともと幼稚園が持っていたプランターに可愛らしい花壇をつくって運んでくれたそうです。事務局側としては、そのままの山野草のイメージが飾られると思っていたので、幼稚園の入り口で、あれれ? あの素敵な花壇はどこに? と、拍子抜けしてしまったのですが……、これも経験ですね。インターネットやメールを介してのやり取りをしない世代の方々との対話の進め方は、もっと丁寧にするべきだったと、学びました。ナザレ幼稚園の園長先生は、たかはし園芸さんから、さらにいろいろな苗を仕入れて、庭のあちこちに植えてくださっていました。

 

 

③ 桜台園芸(恩田町恩田町16-1)から、美しが丘中部自治会館マダム会(美しが丘1-23-8)へ

花壇タイトル:「春への訪れを」
解説:「秋に植える苗は小さく、冬に花を咲かせるのを休みますが、暖かくなるにつれて桜のように満開に咲き誇り、春の訪れを教えてくれます。桜台園芸で生産しているパンジー、よく咲くスミレ、パンジー、フリフリ、ネメシア、ガーデンシクラメンを使いました」

 

桜台に住まい、恩田川沿いの畑で花の生産に意欲的に取り組む若手として期待を集める桜台園芸。代表の森健太さんは、地域とのつながりも積極的に作り、花育にも力を入れています。たかはし園芸の高橋佳晴さん、リードの安生敏弘さんとともに、当日はステージにもあがっていただきました。

 

美しが丘中部自治会館マダム会は長年ボランティアで花壇づくりに関わる女性たちのグループです。美しが丘中部自治会館周りが常に綺麗に保たれているのは、マダム会があるからです。現在代表をつとめる藤井本子さんは、まちを美しくする活動に様々に取り組まれていて、こなみさんのお話に感動し、桜台園芸からの、たくさんの花苗ギフトも嬉しいと、とても喜んでくださいました。

 

④LEADガーデン&エクステリア(荏子田3-7-1)から 青葉さわい病院屋上庭園(元石川町4300)へ

花壇タイトル:「レモンでつながる仲間たち」
解説:「ハードウッドの植木鉢に、レモンとユーカリポポラスを植え、レンガで雰囲気づくり。レモンは白い可愛らしい花を咲かせ、収穫後はジャムやレモネードにして味わう楽しみもあります。屋上が豊かな交流の場になりますように」

森ノオトの庭づくりでも、大変お世話になったリードの代表の安生さんは、当日ステージの登壇者としても、また、森ノオトの関わった別のツアーイベントでも協力してくださっています。頼れる地域のつなぎ役です。

 

青葉さわい病院は、4階の病棟に面して広い屋上があります。スタッフの有志で緑あふれる空間にして、寝たきりのような重度の患者さんと、その家族の目を楽しませたい、心地よく過ごせるような場所にしたいと考えていたそうです。しかしなかなか手が回らず、この取り組みが新たな一歩。院内のニュースレターでもマッチングについて紹介してくださいました。レモンが今後どう生かされるのか、ゆっくり見守っていきたいです。

 

⑤アン・ヴォヤージュ・ドュ・フルール(美しが丘5-1-5 第三吉春ビル106)から、山内中学校フラワーガーデン(美しが丘5―4)へ 

花壇タイトル:「家族で楽しい Halloween!!」
解説:「10月はなんと言ってもハロウィンの季節!!
晩秋の雰囲気が伝わるカボチャを始め、赤い実物、色も鮮やかな花達、秋風になびくオーナメンタルグラスなど、オータムカラーの植物たちをたくさん使って、自然が溢れるデザインを心掛けました。“Trick or Treat(トリックオアトリート!)“ と、思わず声をかけたくなる可愛いミニガーデンです。」

 

アン・ヴォヤージュ・ドゥ・フルールは、フランス、プロバンス地方をイメージしたお店です。代表の木村尚子さんは、ハンギングバスケットの講師としても有名です。多忙な中、マッチング先との連絡がなかなかとれない状況が続きましたが、当日は、スタッフの方が、なんとか設営を間に合わせてくださり、センス良くまとまった秋色の作品を、みなさんに楽しんでもらえました。

 

山内中学校フラワーガーデンは、PTAのOBによる花壇ボランティアです。子どもが卒業した後も地域の学校は大切な場所だからと、学校地域コーディネーターなどが呼びかけて、手入れの行き届いていなかった花壇を綺麗にする活動を始めたばかり。今回マッチングされたお花は、翌々日には植え替え作業をして、翌週のPTA祭で、たくさんのお客さんを迎えることができたそうです。しばらく放置されていた玄関前の花壇を、思い切ってまっさらにして花苗を植えたところ、とても華やかになったとのこと。広場の花壇なども同時に手入れがされて、冬景色に彩りが添えられていました。このマッチングを通じて、メンバーがご近所のネットワークで長年続けている、ハロウィンイベントの取材にも発展しました。

 

⑥ジョイフロリスト(市ケ尾町1063-1)から市ケ尾高校環境委員会(市ケ尾町1854)へ

花壇タイトル:「うさぎの庭」
解説:「厳しい寒さがやってきますが、その寒さを凌ぎ、待ち望んでいた春から初夏に向けて楽しめる「希望の花壇」をお届けします。春から初夏に向けて咲き誇る姿を想像してみてください。ワクワクする展開を期待し、明るい日々を待ち望んでみましょう」

 

ロンドンで花の修行をしたという店主が営む地域密着の花屋さん。今回は、お店の若いスタッフの伊藤祐太さんが花壇づくりの担当となり、当日も会場に一番乗りして、早くから丁寧に、じっくり時間をかけて設営をしてくださったのが印象的でした。マッチング先の都合に合わせて、当日イベント終了後、雨交じりの中、植え替え作業も最後まで手がけられたそう。展示された通りに再現された花壇を楽しむことができます。

 

市ケ尾高校では、学校設立当初から、関わるPTAも一緒に学校の環境づくりをしてきた伝統があります。PTAの活動の中に、環境委員会があり、毎年、春夏と秋冬の花壇のテーマを決めて、なんと、デザインするところからつくっています。この秋冬の花壇のテーマは「Sunshine 輝け」。そこに、なんとも可愛いうさぎの庭が加わりました。マッチング先の中で唯一、代表の方と、当日まで顔を合わせることができず、行き違いも途中ありました。でも、メールでのやり取りを重ねることで、お互いに理解が進み、結果的にとても喜んでもらえました。

 

⑦ 株式会社三橋緑化興業(あざみ野1-4-3) → すすき野小学校花壇ボランティア(すすき野3-4-1)へ

花壇タイトル:「いにしえより続く伝統の風景」
解説:「秋を飾る草花をメインに植栽するほか竹垣を花壇内の各所に設け、立体感のある和風の庭園として演出します。普段の景色として見ることの少なくなった日本庭園の四季の一節を箱庭いっぱいに広げ、訪れた人の目を楽しませます」

 

公園工事を中心に、大型の案件を請け負う三橋緑化興業は、森ノオトとしても、私個人的にも、今までに接点のないタイプの事業者さんです。会社は、あざみ野駅前のビル。今話題の、里山ガーデン(横浜市旭区)や、ラグビーの国際大会の会場となった日産スタジアムの芝の管理にも関わっています。国際大会の開幕や、台風の影響で忙しい中、今回のような小さな依頼にも答えてくださったのは、今更ながら、奇跡的だったかもしれないと感じています。

 

すすき野小学校では環境維持やビオトープづくりなどに地域の方が関わってきました。現在のPTA会長が花好きということもあり、花壇づくりにも気を配り、春夏と秋冬で植え替えをしています。イベント終了後、当日のうちに苗を運んでもらい、植え替え作業は、後日メンバーだけで実施。しかも、苗だけもらって、竹垣はホームセンターで購入した資材などで、自分たちで作って再現してみたとのこと。後日見に行くと、イベント当日の花壇よりも気持ちふわっとやわらかな印象の、和風花壇ができていました。余った苗は職員玄関前にも植えられたそうです。今年度いっぱいで閉校が決まっているすすき野小ですが、最後まで花いっぱいで卒業生を送りだしたいと、年明けにはまた新たな色合いの花壇へと模様替えがされていました。

 

⑧横浜庭苑株式会社(荏田北1-3-12)から田奈駅前クリニックビルのエントランスの花壇(田奈町15-4)へ

花壇タイトル:「未来の横庭(喜)」
解説:「横浜庭苑(株)のロゴにあるスコップと木の芽を花壇で表してみました。ベースになっているペンタスは喜びを、稲穂は実り多い当社の未来を表現しています」

 

三橋緑化興業と並んで、公園工事を中心に、大規模な施工を得意とする事業者さんです。住民に馴染みが深いところでは、ズーラシア(横浜市旭区)の施工などがあります。個人宅の施工も手がけるそうで、今回のマッチング花壇づくりにも、職人さんが、とても真面目に取り組んでくださいました。

 

田奈駅前クリニックビルのエントランス花壇は、名前の通り、田奈駅の改札を出てすぐ目の前です。ビルオーナーの土志田祐子さんは、田奈小学校の花壇ボランティアもされています。声がけしたところ、学校の花壇よりも、誰もが見られて、かつ、手入れ不足を感じていたクリニックの花壇を手入れするきっかけにしたいという話になりました。イベント当日のうちに横浜庭苑さんが花苗を搬入してくれて、植え替え作業は土志田さんと、ボランティアメンバーの黒田ゆかりさんで行ったそうです。展示の時には稲とスコップの印象に圧倒されましたが、「赤と白が人目を引く、とても可愛らしい花壇になった」と喜んでもらえました。花が終わったら、また新たな花苗に植え替えようと考えているとのことで、次の行動の意欲も湧いてきたようです。

 

⑨横溝園芸 (青葉区新石川2-21-4) から 保木公園愛護会(美しが丘西3-65-1)へ

花壇タイトル:「秋を届けに」
解説:「少し寂しい保木公園の入口花壇に、秋冬に楽しめる花を届けに来ました。風に揺れるコスモスは花が終わった後、種取りをして年々地域に増やしていっても楽しいでしょう。秋色のパンジーやビオラ。ハボタンの成長も楽しんでください」

古くから続く花農家で、代表の横溝潔さんは、地域の歴史研究家としての顔ももっています。今回、「花苗は提供するけど、当日の搬入には行けない」ということで、急遽、フラワークラブなな夢さんに、おおよその花の選定などに協力してもらい、森ノオトスタッフで、簡易な配置をするという形でなんとかしのいだのでした。

 

保木公園愛護会は、以前ヒアリングした際に、しばらく活動をしていない状態だと伺っていました。でも、これからイベントなどを時々開催して盛り上げたいと思っているとも聞いていたので声がけしました。花に詳しくはないことと、横溝園芸さんと直接つなげないままだったことで、実は少し心配していました。が、イベント当日のうちに苗を引き取ってくださいました。翌週には、慣れないメンバー二人で、植え替え作業を無事終了したと報告を受け、とても安心しました。公園の入り口付近の花壇が少し荒れていたところ、土を耕して植えられた花はなんとも愛おしく感じられます。後日再訪した時にも、落ち葉に囲まれながらも、しっかりと根付き、カラフルな花を咲かせていました。

 

 

最後に、ステージのお花をお願いしたkonitaさんの作品をご紹介。秋の野山を凝縮したようなアレンジが、講演会に華やかさをもたらしてくれました。以前森ノオトで取材した時から一歩進み2019年11月に実店舗をオープンさせています。Konita(青葉区つつじが丘10-21 201)

 

いかがでしたか?参加できなかった方にも、ショーの様子が伝わったでしょうか。ここで紹介した場所は、希望すれば誰でも見学することができます。学校や病院の中に入るには、事前に連絡してみてください。

 

青葉区内には、まだまだたくさんの事業者がいて、見えない小さな活動が様々に行われています。それを全て網羅することは難しいけれど、今後も、様々なやり方で、人や場を横につなぎ、区内全体を大きな庭のように感じることができたら、青葉区らしいのではないか、と考えています。

 

 

 

Information

今後のフラワーダイアログあおばのプログラム

 

「花と緑の地図づくりワークショップ」

日時:2020年2月14日(金)9:30-12:30

会場:青葉区役所4階会議室

参加費:無料

定員:50名

 

「たねダンゴで花壇づくり名人になろう!」

日時:2020年3月7日(土)10:30-12:00

会場:青葉区役所4階会議室

参加費:無料

対象・定員:小学生の親子・30組

 

申し込み方法:event@morinooto.jpに①参加者全員のお名前②申し込み者の住所③メールアドレス④電話番号⑤保育の有無をお書き添えの上、メールでお願いします。Eメールをお持ちでない方は、上記内容を明記の上、青葉区企画調整係へFAX(045-978-2410)でお申し込みください。

 

未就学児の保育のお申し込みは、開催2週間前までにお願いします。お申し込み時にお子さんのお名前、性別、月齢をお書き添えください。

梅原 昭子
この記事を書いた人
梅原昭子理事/事務局長/ライター
引き算の編集が好きです。できないこと、やりたくないことが多過ぎて消去法で生きています。徒歩半径2キロ圏内くらいでほぼ満ち足りる暮らしへの憧れと、地球上の面白い所どこでもぶらりと行ける軽さとに憧れます。人間よりも植物や動物など異種から好かれる方が格上と思っている節があります。
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