美しが丘西、夢のような「子ども1日お仕事体験」!
夏休みのある日、横浜市青葉区美しが丘西の住宅地の一角で、お店を行き交う子どもたちの姿がありました。その手には、花のアレンジメントや珈琲の粉などをもち、わくわくするような眼差しで歩道を歩いていきます。動物病院、花屋、珈琲屋の3店舗を巡る「子ども1日お仕事体験」に密着しました。

 

小学生の頃の夢は何でしたか?

 

おそらく、小学生が憧れる職業の上位に入るであろう動物病院、花屋、珈琲屋(カフェ)の3店舗を1日でまわり、そのお仕事を体験するという夢のよう企画が美しが丘西で開催されました。

 

「子ども1日お仕事体験」の発起人は、美しが丘動物病院の院長である柏木龍さん。今年の5月、動物病院だけでお仕事体験を実施したところ、子どもや保護者からの評判が大変良かったため、日頃から交流のある近所の店舗に声をかけ、今回の企画が実現したとのことです。そのお店とは、動物病院の向かいにある自家焙煎珈琲豆屋さん「カフェブランコ」、そこから数分の所にある花屋さん「空の箱」です。こちらの2店舗については、以前に森ノオトの取材で伺ったこともあり、その店主たちがこうしてつながりが生まれていることにとてもうれしくなりました。

 

それでは、「子ども1日お仕事体験」始まります!

 

3、4人ずつのチームに分かれて、3店舗をぐるぐるとまわっていきます。私たちのチームは、小学4年生1人、3年生2人の女子グループ。まずは、花屋さん「空の箱」からスタート。

 

花屋さんといえば、たくさんの花に囲まれたかわいらしいイメージが思い浮かびますが、実際は早朝の植物の仕入れからはじまり、花の水揚げやケア、掃除といった外からは見えない大変な部分も多くあります。ただ、今回は花屋さんのお仕事の中でも憧れる“花のアレンジメントづくり”を中心に体験させてもらいます。

エプロンをギュッとしめて、掃き掃除。色鮮やかなひまわりと濃いグリーンに囲まれての素敵な仕事場

 

掃除の後は、アレンジメント作り。好きな花材を一人ひとり選んでいく。じっくりと悩みながら……、目の輝きが違う!

 

「空の箱」店主の大谷明子さんが、子どもたちとおしゃべりをしながら、一人ひとりにアレンジの仕方を教えてくれる

 

「まずは主役となるお花を決めてね」

 

「いいやん、素敵!」

 

「一度挿したら、抜いたらアカンよ」

 

などと声をかけながら、美しく花をアレンジするポイントも交えて丁寧に教えてくれます。お仕事体験というよりは、まるで花の教室? それでも、子どもたちはとても楽しそう。

 

小花を優しくもつその手から、どんな作品ができるのかな?

 

夢中でアレンジメントつくりをしていると、あっという間に次の店舗へ移る時間。自分でつくった作品は、お土産となります。

 

さて、次は「カフェブランコ」さんです。時間になると、動物病院のスタッフの方が迎えに来てくれるので、お母さんたちもゆっくりと子どもの雄姿を見られます。もちろん、子どものみでの参加もOKです。

 

カフェブランコさんは、自家焙煎のこだわりの豆を販売し、店の奥では、店主が一杯ずつハンドドリップした珈琲を味わえるお店です。今回は、焙煎された豆を器具で挽き、一人ずつハンドドリップする体験をします。

 

まずは、自分でドリップするための珈琲豆を挽く。ボタンひとつで、あっという間に粉になることに歓声があがる

 

店主である井口直之さんと一緒に、カウンターの中でそれぞれが自分のお客さん=お母さんのために珈琲を淹れる

 

ぽたりぽたりと落ちてくる珈琲を眺める姿は、真剣そのもの

 

最後は、お持ち帰り用の珈琲豆を挽く

 

わたしも、子どもが淹れてくれた珈琲をいただきました。まず、子どもが淹れたのにもかかわらず、珈琲がこんなにも美味しいことに驚きです。もちろん、珈琲豆の品質や鮮度がよいこともありますが、子どもでも理解できるように、横で一緒なって一つひとつの動作を教えていただき、それを子どもなりに理解しようとしながら一生懸命に淹れてくれた1杯は最高の味でした。

 

その余韻に浸っていると、最後の動物病院へと移る時間です。

 

動物病院では、診察や手術、トリミングやホテルといったことが日頃から行われていますが、今回は手術室での注射の仕方(なんと本物の注射器を使用!)と診察室でのレントゲンについて説明を受けます。“注射”と聞いて、子どもたちもドキドキ!

 

白衣を着て、聴診器を首にかけると一気に“先生”気分

 

手術室。お仕事体験とはいえ、本物の注射針を使うため、獣医さんから注意事項と説明をしっかり聞く。今回の患者さんは、ぬいぐるみのワンちゃんたち

 

手術室に入ると、ずらっと並んだ見慣れない機械や手術台を見て、子どもたちはかなり緊張している様子。本物のメスや注射器を目の前にし、ドキドキしているのがこちらにも伝わってきます。

 

いざ、ワンちゃんに注射! 針で指をささないように、慎重に慎重に……。ぬいぐるみの腕には、細い管が巻かれていて、そこをめがけて針をさしていく。うまくいくと、注射器に入れたピンク色の液体が管を通って流れていく

 

手術室では、注射の体験以外にも心拍・脈拍・呼吸などを測るモニターを体験し、次の診察室へ移動します。

 

診察室では、院長の柏木さんが聴診器の体験やレントゲンについて説明

 

実際の犬のレントゲン以外にも、その場で撮ったもの(ぬいぐるみ、携帯、ホッチキスなど)のレントゲンもチェック。ぐるぐると巻かれたものの正体は、ぬいぐるみ! 犬が万一、誤飲した際もレントゲンを撮ることですぐに分かる

 

そして、最後には……。「犬の気持ちになってみよう!」ということで、実際に使われているゲージに入ってみた。子どもたちはキャーキャー大騒ぎ

 

最後に柏木さんから子どもたちにこんなお話がありました。

 

「今日は楽しかったかな? 3つのお店をまわってみて、いろんなことをしている人がいること、その誰もが一生懸命に仕事をしていることをぜひとも知ってほしいと思って、今回の体験会を開催しました。世の中にはたくさんの仕事があって、今日は楽しいことを中心に体験してもらったけれど、もちろん大変なこともたくさんあります。今日、参加してみて、何か分からないことがあれば、それぞれのお店の人にぜひ気軽に聞きにいってみてくださいね」

 

各店舗30分ずつ、合計1時間半というあっという間のお仕事体験ではありましたが、自分が住む地域にはこんな仕事をしている人たちがいるということ、そして、気軽に入れる場所があることが、子どもの記憶の一部として少しでも残っていたらいいなと思います。

 

今回のお仕事体験は、「少しでも社会貢献になれば。そして、参加店舗にとっては、親しみやすいお店として地域に根付いていってほしい」という柏木さんの願いから生まれました。そして、その気持ちに賛同するようにお店を子どもたちに開いてくれた井口さんと大谷さん。好奇心旺盛な子どもたちを相手に、最後までじっくりと対応してくれたことに大変感謝しています。子どものみならず、こうしたお店が身近にあるということは、私たち親にとっても大変心強いものになっています。これからもどうぞよろしくお願いします!

 

自分でつくったアレンジメント、珈琲の粉、白衣の入ったお散歩バック。思い出以外にも、たくさんのお土産つき

 

体験後、朝になると「私が珈琲を淹れるから!」という娘。うれしい限りです。

 

アレンジメントのお花には、自ら水やり。グリーンが少ないといい、庭から葉をとりアレンジメントしました。そして、一番驚いたのはイラストと一緒に動物病院での体験の様子がこと細かく書かれていたことです。点滴の袋には3つ穴が開いていること、レントゲンを撮る時には放射能をあびないように専用の服を着ることなど、そして、最後のひと言がこちら。

 

「いつも動物をたすけているじゅういさんがかっこいいなと思いました」

 

やはり、実際に見て感じることが、夢への一歩につながるような気がしています。

Information

「美しが丘動物病院」

住所:神奈川県横浜市青葉区美しが丘西3-61-8

営業時間:9:00-12:00、16:00-19:00(日・祝日は9:00-14:00)

休診日:火曜

TEL:045-532-3737

HP:http://utsukushi-ah.jp/

「カフェブランコ」

住所:神奈川県横浜市青葉区美しが丘西3-3-10

営業時間:10:00-18:00

定休日:毎週水曜日、第2・4火曜日

TEL:045-902-3951

Email:info@cafeblanco.jp

HP: http://cafeblanco.jp/

「空の箱」

住所:神奈川県横浜市青葉区美しが丘西3-65-8

営業時間:10:00-18:00

定休日:日曜日(お盆、お正月休みは除く)

TEL:045-902-5530

Facebook:https://ja-jp.facebook.com/soranohako

*「空の箱」では、随時子どもお仕事体験をさせてもらえます。詳細はお問合せください。

Avatar photo
この記事を書いた人
清水朋子ライター卒業生
食べること、つくること、ワインとチーズ、焼酎を愛する食いしん坊。雑木林のような豊かな庭、愛するアンティークに囲まれた自宅の一角で、集会所+ときどき、喫茶として「Glänta(グレンタ)」を主宰している。小さな家の隅々まで愛おしみ使い尽くす、センスのよい暮らしぶりが注目を集める。
未来をはぐくむ人の
生活マガジン
「森ノオト」

月額500円の寄付で、
あなたのローカルライフが豊かになる

森のなかま募集中!

寄付についてもっと知る

カテゴリー

森ノオトのつくり方

森ノオトは寄付で運営する
メディアを目指しています。
発信を続けていくために、
応援よろしくお願いします。

もっと詳しく