


11月3日(祝)文化の日。カラッとした青空が広がり、まさにお祭り日和。
会場となるはぐるま稗原農園は、小田急線生田駅と東急田園都市線たまプラーザ駅の中間点にあり、ちょうど川崎市と横浜市の境目に位置しています。近くには幹線道路や大手飲食チェーン店なども点在しており、本当にこの近くに畑があるのか不安になる気持ちを抑えながら?、緩やかな登り坂を少し進むと、突然目の前に畑が表れてきました。

木の板やビールケースを観客席代わりに、畑の中にはステージが設営され、何だかとても不思議な光景

片隅には、生き生きとしたハーブや野菜の苗がこれから植えられるのを待っていた
はぐるま稗原農園は、障がいのある方たちが働く場の一つとしての都市型福祉農園であり、社会福祉法人はぐるまの会が運営しています。ここでは、無農薬で野菜やハーブなどが栽培されており、地元のレストランなどにも提供されているとのこと。2013年の開所以来、地元自治会や地域の方々と協力をしながら毎年秋には収穫祭をおこなっています。
今回で3回目となる収穫祭ですが、今年は“農園フェス実行委員会”の協力を得て更にパワーアップしておこなわれました。この農園フェス実行委員会とは、川崎市宮前区にある小泉農園の3代目、小泉博司さんや登戸にあるレストラン「ビストロカプリシュー」のシェフ、菊池猛さんを中心とした数名のメンバーから成っています。実行員会では、都市型農業と地域コミュニティの在り方について模索しながら、「畑」をステージとして考え、そこで音楽と料理とアートを楽しむという“農園フェス”を開催。今年5月に開かれた小泉農園での農園フェスについては、森ノオトでも取材したばかり。

はぐるま稗原農園の福田真さん(左)とビストロカプリシュー総料理長の菊池猛さん(右)。菊池さんの熱心な誘いから、今回のはぐるま稗原農園での農園フェスが実現したという
10時からスタートしたフェスは、畑の中のステージを中心に、歌や太鼓、ダンスに三味線、プロのピアノの演奏など盛りだくさんの内容。また、子ども向けにはさつまいも掘りや子ども料理教室、クラフト作りなど、大人も子どもも思う存分楽しめるものとなっています。

野菜が植えられている畝を横目に、ふかふかの畑にレジャーシートを敷いてリラックス。なんだか申し訳ないくらい気持ち良かった

木の実の人形づくり。こちらもやはりふかふかの畑の上で。背後では、音楽に合わせて笑顔で踊る人々の姿が見られる

青々とした葉っぱが生い茂るさつまいも畑。「どこでも好きな所を掘っていいよー。袋に詰め放題だよ」と寛大なお言葉。大人も子どももどろんこになりながら、一生懸命!

無我夢中に掘った後には、「獲れたよ!」の笑顔があちこちにいっぱい
それにしても、畑の土の気持ちのいいこと! しっとりふかふか、湿った土の匂い、パラパラと落ちていく優しい手ざわり……。このまま家に持ち帰りたいと思うほど、健康的で心が満たされていくのを感じました。きっと、ご近所のボランティアの方や農園スタッフの方が丹精込めて手入れをされているのだろうなと思いました。
さて、農園フェスの楽しみはまだあります。石釜ピザ、ハーブソーセージ、フレンチ&イタリアンレストランによる惣菜やワインなど、目移りしてしまうほど豊かな飲食ブースが並んでいます。しかも、その質の高さがすごい。ワインやビールなどのお酒もあり、ほろ酔い気分で料理を楽しみ、ステージで繰り広げられる音楽に耳を傾けるという贅沢な時間が味わえます。

炭火の煙が舞うなか、生ハムをカットする豪快な光景

キッズプレート、鹿肉のパテ、生ハム、イタリアンカレー、ワインにビール……、とお祭りで食べるメニューとは思えないほど高レベル
「祭り」「フェス」と聞くと、これまでは神社やどこか広い場所を借りて行うものというイメージがありましたが、幸せなことに、私たちが住むまちにはこんなにも素敵な畑が身近に残されており、この“畑”でのお祭りがこんなにも楽しいものなのだということに気づきました。畑に植えられた作物と同じ目線でふかふかの地面に座り、太陽の光を浴びながら、土の香りが漂う心地よい風を感じての食事は最高です! そして、畑のなかでは、自然と子どもたちはのびのびと走り周り、大人は子どもの頃に戻ったような感覚でいられるような気がします。改めて、「土」っていいな、もっと日常的にもさわる機会を増やしていきたいなと感じた1日でもありました。

忘れ物を取りに翌日農園を訪れると、のんびりとした穏やかな時間が流れるなか、作業をしている皆さんの姿があった。変わらずに、風が気持ちいい

クラフトづくりで娘がつくった“くまさん”


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