
「スプラス青葉台」を起点に、地域の課題を共創で解決する

会場となったスプラス青葉台には、地域共創に関心を持つ多くの参加者が集まりました。2012年から次世代郊外まちづくりに関わってきた東急の岡本さん
会の冒頭、東急の岡本正義さんより、この施設「スプラス青葉台」の成り立ちについてお話がありました。2012年に横浜市と東急が締結した「次世代郊外まちづくり」の協定に基づき、駅から離れた郊外でも歩いて暮らせる「コミュニティリビング」という考え方を街に配置する取り組みが進められてきました。森ノオトも2013年からたまプラーザの住民創発プロジェクトに参画し、書籍『たまプラーザの100人』を出版したり、たまプラ一座の活動やシェアカル、3丁目カフェのイベントに参加するなど、住民によるまちづくりの主体的な活動を目の当たりにしてきました。
青葉台でも、この場を起点にさまざまな活動が起こり始めています。「働く場であり、地域の方々の交流の拠点でありたい」。そんな思いで整備されたスプラス青葉台は、日本郵便、横浜市、東急の連携によって生まれました。今や会員数は1000名を超え、毎月のようにイベントが開催される、まさに地域のハブとなっています。

リビングラボについて説明する三菱ケミカルの小野さん
続いて、三菱ケミカルの小野祐樹さんからは、スプラス青葉台の3階に設けられた「リビングラボ」の活動が紹介されました。研究所に閉じこもるのではなく、地域の方々とともに新しい素材や技術を実装していく。その活動は、かつてこの地に生息していた渡り鳥が帰ってこられるような「良き町」を、市民と共に考えていくプロセスそのものと言えるのではないでしょうか。
「地域のグリーンアクション」をテーマに、多世代が交わる

横浜銀行の北村さんによる、これまでの活動の振り返りと今回のテーマ説明
横浜銀行の北村真志さんからは、本セッションの目的が語られました。「われわれ3社だけでは解決できない地域の課題を、共創プレイヤーの皆様と共にクリアにしていきたい」。第1回は「浜なし」のワイン製造と搾りかすの活用という地域資源の循環がテーマでしたが、今回は「地域のグリーンアクション」として、緑を介した具体的なアクションをみんなで考える場となりました。来年3月に開催される「横浜グリーンエクスポ」を見据え、地域の活動を活性化させる狙いもあります。
学校、郵便局、造園会社。それぞれの視点から見る「緑」

桐蔭学園の松井さんによる、ESD(持続可能な開発のための教育)の取り組み紹介
桐蔭横浜大学准教授で高大接続推進を担当する松井晋作さんからは、大学での「イシュー・ドリブン・ラーニング」という新しい学びの形が紹介されました。学生たちが現場で課題に気づき、仮説を立て、対話を通じて価値を生み出す。そのプロセスの中で、地域と連携した竹林整備や農地活用など、実践的な活動が広がっています。

森ノオトでもお馴染み、青葉台ハニービープロジェクトをリードする村野さん
日本郵便青葉台郵便局長の神長さん、青葉台駅前郵便局長の村野浩一さんからは「青葉台ハニービープロジェクト」の活動が報告されました。郵便局の屋上で養蜂を行い、採れた蜂蜜を地域で活用する。この活動は、単なる環境教育にとどまらず、地元の企業や学校とコラボレーションし、地域ブランディングにもつながっています。ここで採れた蜂蜜は「ぽすみつ」のブランドで地域に認知されるようになりました。この夏、村野さんが訪れたニューヨークで都市養蜂家と交流したエピソードも飛び出し、世界とつながる青葉台のローカルな活動の可能性を感じさせました。

東急グリーンシステムの松本さんによる、都市の緑のこれからについての講義
東急グリーンシステムの松本匡浩さんは、樹木医の視点から「1本の木」の機能について解説しました。木は人間のために頑張っているのではなく、木として生きている結果として、二酸化炭素の固定や熱環境の緩和といったサービスを都市に提供している。だからこそ、緑を「量」だけでなく「質」で捉え、市民がどう関わっていくかが重要だと語りました。
たねダンゴ作りと養蜂体験。緑にふれる入り口

ワークショップでは、泥団子のように種を包み込む「たねダンゴ」作りに挑戦
後半は、グループに分かれてのワークショップです。東急グリーンシステムによる「たねダンゴ作り」では、ケト土と赤玉土を混ぜ、中に肥料と種を包み込みました。「自分で植えて、芽が出て、花が咲く」。そのプロセスを共有することが、緑と人との関係を育む第一歩になります。

遠心分離機を使って、実際に採れたての蜂蜜を抽出し、試食する
青葉台ハニービー・プロジェクトに参加する郵便局長たちによる養蜂体験では、実際に巣箱から取り出した蜜枠を遠心分離機にかけ、黄金色の蜂蜜を抽出しました。採れたての蜂蜜の香りと、季節によって変わる色や味の違いに、参加者からは驚きの声が上がりました。
「知る」から「関わる」へ。次のアクションに向けて
最後は、グループごとに「次のアクション」を話し合いました。「団地ごとの緑の活動を比較分析してみたい」「空いているスペースで花壇を作れないか」「まち歩きをして地域の緑を再発見したい」。
参加者からは、単なる感想にとどまらない、具体的なアイデアが次々と飛び出しました。
こうした「地域共創」の芽は、まずは活動する人々の思いや実践を知ることから始まります。そして、実際に土にふれ、蜂蜜を味わい、対話することで、得た情報が体感として伝わり、まちへの愛着形成につながります。
青葉台というまちで、企業、学校、そして市民が手を取り合い、緑を介して新しい価値を学び出していく。そんな「共創」の輪が、これからもこのまちで広がっていくことを確信した一日でした。
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